伊川津44号という人骨の不思議な特徴とはなんなの?

画像
★歴史★
問題:愛知県の渥美半島から出土したある人骨についてのクイズです。
■この人骨は、渥美郡伊川津(いがわづ)貝塚から発掘されたものであり、整理上伊川津44号と名付けられたそうです。鉄人28号や農林150号などと似た名前ではありますが、正太郎君の相棒でもなければおいしいササニシキでもありません。
■伊川津44号という人骨には、他のふつうの人骨には見られない不思議な特徴がありました。縄文時代の暮らしぶりを推測する手がかりとなっているらしい。では、伊川津44号のもつ不思議な特徴とは次のどれでしょうか? (正解は複数かも)
[い]頭蓋骨に手術の痕があった
[ろ]両足首に別の人物の人骨で作られた装飾品が巻かれていた
[は]前歯に溝が彫られ、フォークのような形になっていた
[に]両頬に1円玉ぐらい大きさの穴があいていた
[ほ]左手の小指が切断されていた
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[は]前歯に溝が彫られ、フォークのような形になっていた
説明:参考資料*1によると、伊川津44号は約3000年ほど前に生きていた呪術師のようです。死亡時は30歳前後だったらしい。
■上顎(うわあご)の犬歯、小臼歯と下顎の門歯(前歯)を抜いていたそうです。さらに上の切歯(前歯)を数度~十数度、歯に刻みを彫り込んだらしい。結果として上の前歯はフォークのような状態になっていたとのこと。叉状研歯(しゃじょうけんし/さじょうけんし)と呼ばれる歯だそうです。「叉」は、「ふたまた、みつまたなど、またになったもの」を指すようです。
■参考資料*2には叉状研歯の写真が掲載されています(111019現在)。歯医者さんの苦手な者としては、さぞや痛かったろうなと同情を覚えます。
■抜歯と叉状研歯は、縄文時代末期の特徴だそうです。抜歯はわりと多くみられるらしい。一般の人たちが、通過儀礼の際に抜いたりしたようです。参考資料*1によれば、この時代の大人の人骨の80%ぐらいに抜歯の痕があるらしい。
■叉状研歯のほうは、現在までのところ、全国で28例が発見されているそうです。男女の性差はないらしい。発掘されたすべての人骨との割合で見ると数%の人が叉状研歯にしていたようです。限られた人がそんな痛い目にあったわけですね。
■痛い目にあうのは、苦痛に耐えられる強い精神力を誇示するためと考えられています。落語の「強情灸(ごうじょうきゅう)」みたいなものかな。もちろん見た目もかなり気持悪いですよね。下の前歯がなくて上の前歯はフォーク状態です。普通の人ではない→特別な能力を持った人という評価を得て、呪術などに携わったと推測されているそうです。呪術は、明日の狩りの成否を占ったりしたとのこと。
■呪術師と見られる伊川津44号人骨は、左右の耳に猿の骨の一部を赤く塗ってつくった耳飾りをはめ、足には猪の牙でつくった足環をはめていたていたらしい。なかなかお洒落だったのかな。さらにおなじように叉状研歯をほどこした2人の合葬者をともなっていたとのこと。44号が死んだときに殉死させられたのでしょうか。あるいは3人とも不猟続きの腹いせに「ちっとも占いが当たらない罪」を受けて刑死したのかな。そのあたりは、まったくわからないようですけど。
◆参考*1:書籍「日本史こぼれ話 古代・中世 正編」新書初版6~7頁、笠原一男/児玉幸多編、ISBN4-634-60330-6、山川出版社
◇*2HP「縄文と古代文明を探求しよう! | 叉状研歯(しゃじょうけんし)って!?」(フォーク状の歯の写真が見られます)
http://blog.kodai-bunmei.net/blog/2007/01/000107.html
◇*3HP「 $BS.F}N`!!!=?MN`!= (B」(参考資料*2の元の写真だそうです)
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/1995collection2/tenji_honyurui2_36.html

ぬけられます→歴史雑学クイズ一覧

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年10月20日 04:38
抜歯したり、尖らせたりするのは、アマゾンやアフリカの部族で見られるようですね。
バンジージャンプは、元々東南アジアの部族の成人式の通過儀礼でしたしね。
現代でも、生きていくには勇気がいりますからね~
(^^ゞ
ねこのひげ様<素町人
2011年10月20日 23:05
コメントをありがとうございます。

 歯を抜いたり削ったりするなんて趣味が悪い。そんな痛い思いをするぐらいなら、「あいつは臆病だ」と後指さされているほうがマシでしょう。歯医者嫌いとしては、縄文時代の呪術者たちの気持ちは理解できません。
(^^;)

この記事へのトラックバック