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zoom RSS 木下杢太郎(もくたろう)の作品からの読み問題。「落款」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2011/08/01 08:18   >>

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★日本語★
問題:本日、8月1日は徳川家康が江戸城へ初めて足を踏み入れた日といわれます。天正(てんしょう)18年のことだったらしい。西暦では1590年の8月30日とのこと。記念して、江戸時代は8月1日が祭日とされていたようです。八朔(はっさく)と呼ばれたらしい。朔(さく)は月の1日を意味するそうです。八朔には各大名は白い服で登城するしきたりだったらしい。吉原では遊女が白無垢の小袖を着て祝ったようです。
■現代ではとくに休日ではありません。弊クイズも休みません。8月1日にちなみ、この日に誕生した作家を探し、その人の文章から漢字の問題を出そうたくらんでおります。まず会津八一(やいち)氏を候補として挙げました。明治14年(1881年)生まれです。明治大正時代から昭和前半にかけて活躍した歌人であり、美術史家・書家としても名前を残しました。
■残念ながら青空文庫に残された会津八一氏の文章はたいへん短いものばかりで、出題のネタとするには不適でした。次に詩人の室生犀星(むろお さいせい)氏を候補としました。明治22年(1889年)生まれです。ところが死んだのは昭和37年(1962年)。ギリギリで死後50年が経過していないためなのか、青空文庫には所蔵がありません。来年以降のお楽しみです。
■3度目の正直で木下杢太郎(もくたろう)氏を選びました。詩人・劇作家・翻訳家であり、お医者さんでもあった人だそうです。「南蛮情緒、切支丹趣味、耽美享楽的」と言われる詩や戯曲を残したとのこと。明治18年(1885年)の今日が誕生日であり、終戦の年に満60歳で死んだそうです。青空文庫に作品が残されており、内容もクイズネタにふさわしいもののようです。
■では、木下杢太郎氏の作品「市街を散歩する人の心持」からの読み問題です。次の漢字・熟語はなんと読むでしょうか?
[い]「唐桟の袢纏(はんてん)を着た」の唐桟
[ろ]「譬へ難き哀愁」の譬へ
[は]「猶も歩を進めて」の猶
[に]「ヨオドフオルム乃至漢法方剤」の乃至
[ほ]「その尖兵にもたとへつ可き」の尖兵
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「唐桟の袢纏を着た」の唐桟はトウザンと読む
■「唐桟」は生地の一種だそうです。「紺地に浅葱(あさぎ)・赤などの縦の細縞を織り出した綿織物」とのこと。江戸時代では通人に愛好されたらしい。袢纏は、襟がなくて丈の短い上着だそうです。現代でいえばジャンパーとかブルゾン、ジャケットなどとおなじように使われる服なのかな。作業着としても使われたようですけど。
□「桟」という漢字は、常用漢字表では「サン」という音読みだけが掲載されています。漢和辞書「字通」によれば、「たな、かけはし」という字訓があるとのこと。「桟橋(さんばし)」という熟語はよくお目にかかります。「障子の桟」でも使われています。「障子破れて桟があり」は、杜甫の五言律詩「春望(シュンボウ)」の冒頭の句、「国破れて山河在(あ)り」のもじりだそうです。
[ろ]「譬へ難き哀愁」の譬へはたと(へ)と読む
■「たとえる」という意味の漢字は、「例える」の他に「喩える」とか「譬える」があるようです。
□「譬」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ヒ、たとえる、たとえ、さとす」という字音・字訓があります。比喩とおなじ意味で「譬喩(ヒユ)」とも書くようです。
[は]「猶も歩を進めて」の猶はなおと読む
■「猶」という漢字は、常用漢字表では「ユウ」という音読みだけが掲載されています。漢和辞書「字通」によれば、「はかりごと、なお」という字訓もあるらしい。意味としてはとてもたくさんあります。「はかりごと」の他に「犬の子」とか「猿」とか「あざむく」、「はなはだ」、「すでに」、「似る」、「ゆったり」、「ためらう」、「あやまち」などの意味があるらしい。名詞も動詞も副詞もあるんですね。
□「執行猶予」などという「猶予(ゆうよ)」という熟語をつくります。この場合は、法の執行を「ためらう」の意味らしい。
□「猶太(ユダヤ)」という当て字にも使われます。「さまよえる猶太人」という伝説は、「刑場へ引かれるキリストを侮辱した罰として、死ぬこともできず、永遠に世界をさまようという猶太人」のお話らしい。死ねない辛さというのはどんなものでしょうかね。生きられない辛さよりも辛いのかな。
[に]「ヨオドフオルム乃至漢法方剤」の乃至はないしと読む
■「乃至」は、「あるいは」とか「または」という意味らしい。「AND OR」のORですね。数字をからめて「から…まで」の意味でも使われます。「午前10時乃至10時半に到着予定だ」と聞いたとき、相手が大切な取引相手ならば、午前10時前に行けばいいわけです。古女房なら10時半に行けばいいのかな。
□「乃」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ダイ、ナイ、すなわち、なんじ、もし」などの字音・字訓があります。「乃公(ダイコウ)」という熟語をつくります。「俺」という意味です。「乃公出(い)でずんば」という慣用句が知られています。「他の者に何ができるのか、我が輩が出なければならない」という意味だそうです。「自信を表す言葉」だそうです。単なる自惚れかもしれませんけど。
[ほ]「その尖兵にもたとへつ可き」の尖兵はセンペイと読む
■「尖兵」は、「軍隊の行動中、本隊の前方にあって警戒・偵察の任に当たる小部隊」だそうです。譬喩的には「他に先がけて、その分野・場所などに進出する人」も尖兵と呼ばれるらしい。「米の粉をこねて薄くのばし、醤油や塩で味つけして焼いた菓子」は、発音は似ていますが、尖兵ではありません。
□「尖」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「セン、くさび、とがる、するどい、さき」という字音・字訓があります。よく見ると妙な漢字ですね。「小さい」という漢字の下に「大きい」とあります。元が太く(大きく)、先が細い(小さい)ので「くさび」とか「するどい」、「とがる」、「さき」という意味になったのかな。
□「尖鋭(センエイ)」という熟語をつくります。「先鋭」とおなじで、「先が鋭くとがっていること」、「考えかたが急進的なこと」だそうです。
◆参考*1:HP「図書カード:市街を散歩する人の心持」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000120/card46889.html
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林
◇辞書「字通」白川静、平凡社

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
8月1日は徳川家康が江戸城にはいた日ですか。八朔というと果物のハッサクを思い出しますが(^^ゞ
今朝、めざましテレビを見ていたら、郷ひろみさんが「きょう8月1日は僕が芸能界デビューした日です。」と叫んでいました。
40年前だそうです。それにしてはお若い。

浅黄で、浅黄裏という言葉を思い出しました。田舎侍を江戸の人間が馬鹿にした言葉だそうで・・
江戸の町人も元をただせば田舎の人間なんですけどね。
人間はなんやかやと理由をつけて人より上に立ちたがるようで(~_~;)
ねこのひげ
2011/08/02 07:47
コメントをありがとうございます。

 果物の八朔も、この時期から食べられることから八朔と名付けられた…という説があるようです。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2011/08/02 09:12

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