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zoom RSS 漢検1級程度。唱歌「故郷(ふるさと)」の歌詞、「恙なしや友がき」の「恙」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2011/06/06 07:10   >>

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★日本語★
問題:漢検1級程度。難易度最高の読み問題です。できなくても恥じではなく、できれば少し鼻が高い問題群です。次の熟語・漢字はなんと読むでしょうか? 
[い]「恙無しや友がき」の「恙無し」
[ろ]「あまりの美しさに眩暈を感じた」の「眩暈」
[は]「その申し開きを諒とする」の「諒とする」
[に]「蒼氓をあざむく政治屋」の「蒼氓」
[ほ]「杳として行方がわからない」の「杳として」
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「恙無しや友がき」の「恙無し」はつつがな(し)と読む
■「恙無い」は、「病気や災難などがなく日を送る」という意味だそうです。平穏無事なことらしい。「うさぎ追ひし彼(か)の山、小鮒(こぶな)釣りし彼の川」と始まる唱歌「♪故郷」の2番では次のようにうたわれていました*2。
---如何(いか)にいます 父母
---恙(つつが)なしや 友がき
---雨に風に つけても
---思ひ出(い)づる 故郷
□2行目の「恙なしや 友がき」は、「元気でいるかい、友たちよ」という意味らしい。「友がき」は、「友達の悪ガキども」という意味ではありません。「友垣」と漢字表記し、「交わりを結ぶことを、垣根を結ぶのにたとえていった言葉」だそうです。最近の都会では垣根が減りつつありますので、「垣根を結ぶ」の意味がわかりにくいかもしれません。昔の垣根、たとえば竹を縦横に並べ、結びつけてつくる四つ目垣などは、いかにも「垣根を結ぶ」にふさわしい形をしています(口絵参照)。
□「恙」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞書「字通」によれば、「ヨウ、つつが、うれい、やまい」という字音・字訓があります。「つつが」は「つつがむし」を意味しているとのこと。熟語は現代よく使われるものは見当たりませんでした。
□漢和辞書「字通」には、次のように記されています。「〔呂覧(りょらん)、異用〕に、孔子が弟子を迎えるとき、「子(し)の娶母、恙(つつが)斛(はか)らざるか」と問うたという。恙虫は「けだに」の幼虫、風土病の病原体を媒介するものとしておそれられた」。ちなみに「呂覧」とは「呂氏春秋(りょししゅんじゅう)」という儒家道家その他の思想や自然科学についての知見をまとめた本だそうです。
□「恙無い」という言葉は、「ツツガムシに取り付かれていない」という意味から転じて「無事」という意味になったわけかな。でも参考資料*3*4はそれは誤りと主張しています。参考資料*3、Wikipediaのツツガムシの項では、「「つつがない」(つつがなし)という言葉は「恙虫(つつがむし)」という言葉より前から存在していることが確認されている」と主張しています。ただし、「要出典」という要求をつきつけられていました(110606現在)。
□素人は漢字の字面から判断して「ツツガムシが無い→つつがない・健康」説を支持したくなります。中国最古の漢字字典といわれる「説文解字」には、「恙」の古い字形が掲載されているらしい。それは次のような形とのこと。
▼古い「恙」という字
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う〜む。なんとなく虫っぽいですね。やっぱ、ツツガムシかな。
□漢和辞書「字通」によれば、「恙」という漢字は形声文字であり、象形文字ではないそうです。また、実際のツツガムシは、尻が丸く尻尾もないとのこと。漢字の字形は、語源の議論にはあまり意味をなさないようです。
[ろ]「あまりの美しさに眩暈を感じた」の「眩暈」はめまいと読む
■「眩暈」は、「目が回ったり、くらんだりすること」だそうです。「眩暈」は「ゲンウン」とも読みます。「めまい」は「目眩」とも書きます。
□「眩」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ゲン、くらむ」という字音・字訓があります。「眩惑(ゲンワク)」という熟語をつくります。「目がくらんで正しい判断ができなくなること」だそうです。「闘牛の牛は赤い布の動きに眩惑され、獰猛な角はむなしく空を突くばかりである」なんて使うようです。
□「眩」という漢字は、「眩(まぶ)しい」、「眩(まばゆ)い」、「眩(くるめ)く」といった訓読みもあるようです。「めくるめく」という言葉は、「めまいがする」という意味ですが、「目眩く」と漢字表記するようです。
[は]「その申し開きを諒とする」の「諒とする」はりょう(とする)と読む
■「諒とする」は、「まことだとする。よしとする」という意味だそうです。「もっともだとして承知する」と言い換えられるのかな。「その申し開きを諒とする」では、申し開きをした人はとがめを受けないで済むかもしれません。
□「諒」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば、「リョウ、まこと、あきらか、たすける」という字音・字訓があります。古い中国の呪術に関する言葉のようです。旁(つくり)である「京」は、「戦場の遺棄屍体を塗り込めた凱旋門のようなアーチ状の門」を意味するとか。そこで種々の呪儀が行なわれたとのこと。その感応(かんのう)を得ることが「諒」である由。ちなみにこの場合の感応は、「信仰する真心が神仏に通じてそのしるしがあらわれること」のようです。
□「諒闇(りょうあん)」という熟語をつくります。「天子が先帝の喪に服する」ことだそうです。1912年の7月30日。明治天皇が崩御します。この年はもともとあまり景気がよくなかったようですが、真夏以降の歌舞音曲の禁止で不景気が進行します。「諒闇不景気」という言葉はこの年の大賞を受賞した…かどうかは知りませんが、流行語として残されているそうです*5。
[に]「蒼氓をあざむく政治屋」の「蒼氓」はソウボウと読む
■「蒼氓」は、「民、人民」のことだそうです。むずかしい言葉ですね。年配のかたならば、石川達三(たつぞう)の小説の題名を思い出すかも知れません。第1回芥川賞の受賞作だそうです。「蒼氓」という言葉は、これ以外では耳にしたことがありません。
□「蒼」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ソウ、あお、あおい、しげる」という字音・字訓があります。蒼は「草が茂ってあおくみえる」という意味らしい。「鬱蒼(ウッソウ)」という熟語をつくります。「薄暗いほどに草や木が茂っている様子」らしい。「蒼氓」では、無数に生える草を人民にたとえたのでしょうか。
□「蒼」という漢字は、蒼井優(ゆう)、蒼井そら(空)という女優さんたちの芸名でも使われています。着衣派と脱衣派の違いはありますが、どちらにも頑張っていただきたいものです。
□「氓」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ボウ、たみ」という字音・字訓があります。「民」はもともといた人民。「氓」は外来の民だそうです。「亡」という部品には「逃げる」という意味があるとのこと。逃げてやってきた人々、難民ということなのでしょうか。それとも単なる移民なのかな。
[ほ]「杳として行方がわからない」の「杳として」はよう(として)と読む
■「杳として」は、「暗くてよくわからないさま」だそうです。「事情などがはっきりしないさま」も「杳として」を使うらしい。
□「杳」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ヨウ、くらい、はるか、ふかい」という字音・字訓があります。会意文字だそうです。日が森に沈むという意味らしい。「奥深く暗いさま」とか「はるかに遠いさま」も「杳として」という表現をするそうです。落語の「ふたなり」に登場する森も「杳として」いたのでしょうか。なお、熟語は数多くありますが、現代文で使われるものはほとんど見かけません。
□余談です。「ようとばかりに」という言葉があります。「白鵬はようとばかりに突っかけた」などと使われるらしい。この場合の「よう」は気合いを入れる掛け声なんでしょうかね。実際には発音されない心の内での掛け声なのかな。調べた限りでは辞書には掲載がなく、よくわかりませんでした。
◆参考*1:書籍「本試験型 漢字検定1級試験問題集09年版」成美堂出版編集部編、ISBN978-4-415-20421-5、成美堂出版
◇*2HP「故郷 (唱歌) - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%85%E9%83%B7_(%E5%94%B1%E6%AD%8C)
◇*3HP「ツツガムシ - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%83%84%E3%82%AC%E3%83%A0%E3%82%B7
◇*4HP「つつがない・つつがなく - 語源由来辞典」
http://gogen-allguide.com/tu/tsutsuganai.html
◇*5HP「大正元年の流行語。「蓄音機」とは同じ話を繰り返す人のことなの?」
http://blog.q-q.jp/200812/article_42.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
つつがなく、の使い方を探してたどり着きました。今日皮膚科の掲示物によると、つつがなくのつつがむしとは、マダニのことです。重症化や死亡する可能性もあるみたいで、旅先でマダニに刺されないように、と記事にありました。…旅先ないね。ありがとうございました。
いちに
2014/02/22 22:34
コメントをありがとうございます。

 Wikipediaで調べたら、マダニはギョッとするほど好ましからざる寄生虫のようですね。驚きました。情報をありがとうございます。
m(_ _)m
いちに様<素町人
2014/02/23 19:23

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