貰ったワイロを堂々と一般公開した不思議な高官は誰なの?

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★歴史★
問題:贈収賄は売春や泥棒と同様に、大昔からある犯罪です。犯罪と簡単に斬り捨てられないかな。時代によっては賄賂は犯罪とは認定されず、極めて人間的な行為とされていたこともありますね。「金は命の次に大切なものだから、それを贈るのは誠意の証し」という考えかたをした為政者もいました。
■平安時代のある高級官僚は、もらった贈り物を堂々と一般に公開したそうです。どんな意味があるのかはわかりませんが、不思議なことをしたものです。その高級官僚とは次の誰でしょうか?
[い]藤原基経(もとつね、836~891年、摂政関白太政大臣)
[ろ]藤原時平(ときひら、871~909年、太政大臣(死後))
[は]藤原済時(なりとき、941~995年、右大臣(死後))
[に]藤原道長(みちなが、966~1028年、太政大臣)
[ほ]藤原忠通(ただみち、1097~1164年、摂政関白太政大臣)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[は]藤原済時(なりとき、941~995年、右大臣(死後))
説明:藤原済時は、藤原師尹(もろただ、左大臣)の息子だそうです。祖父は藤原忠平(ただひら)、曾祖父は藤原基経で、どちらも摂政関白太政大臣という要職をつとめたらしい。
■藤原済時は箏(こと)の達人だったとのこと。歴史物語「大鏡」には、芸を出し惜しみして世間から批判されたと記されているそうです。落語の「寝床(素人浄瑠璃)」などで語られる「芸惜しみ」をしたのかな。
■有職故実(ゆうそくこじつ)に通じていたらしい。有職故実は「朝廷や公家の礼式・官職・法令・年中行事・軍陣などの先例・典故」だそうです。浅野内匠頭(たくみのかみ)が知らず、吉良上野介(こうずけのすけ)が知っていたけど意地悪で教えなかった知識ですね。
■やはり「大鏡」に、藤原済時の妙な逸話が掲載されているらしい。自分の屋敷の庭に贄殿(にえどの)とよばれる建物を建てたそうです。「贄」は漢字の意味としては「人と会見するときに贈る礼物」とのこと。手土産のことらしい。
■平安時代では、贄は、天皇や朝廷に贈られる地方の名産品の意味があったそうです。藤原済時氏は、自分に対する贈り物を贄殿に蓄えたようです。しかもそれを毎日公開展示したらしい。朝になると物をかつぎだして門前に並べたようです。展示品には「私がもらったいちばん新しい品物です」と記された札が添えられていたらしい。夕方には贄殿にしまうとのこと。
■目的がよくわかりません。でも門前の通行人から噂は広がったでしょうね。贈る側としてもそうなると展示してもらいたくなる、他人に誇示したくなるらしい。当然、より目新しい物、より高価な物を贈ることになるのかな。
■藤原済時が贈った人に対してどの程度の便宜をはかったのかはよくわかりません。常識で考えると、何かしらの請託はあったと思われます。当時の刑法では賄賂が罪にならなかったのかな。政治資金規正法もないんでしょうね。
■贈り物をもらえない連中は、「本来、朝廷に納められるべき品が権力者のほうにいってしまうのは、それだけ国家の収入が減る」と文句をいっていたそうです。藤原済時は、「くやしければ、自分も物がもらえるように努力しろ」といっていたらしい。まるで悪びれないところがいいですね。
◆参考*1:書籍「江戸のワイロ」初版19~21頁、童門冬二(どうもん ふゆじ)著、ISBN4-89036-887-6、文藝春秋
◇*2HP「藤原済時 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%8E%9F%E6%B8%88%E6%99%82

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年05月20日 13:11
ワイロという意識がなかったというか、もらうのがとうぜんと思っていた時代かも。お中元とかお歳暮感覚だったかも。
むかしの中国でも、人に会うのにソクシュウといって贈り物を持っていくという習慣がありましたが、現在の中国でも、あからさまに残ってますけどね。
ねこのひげ様<素町人
2011年05月20日 15:01
コメントをありがとうございます。

 昔は単純なお礼・挨拶と賄賂の区別がはっきりしなかったのかもしれませんね。
 「束脩(そくしゅう)」は日本で言えば「膝突き(ひざつき)」なのかな。落語「稽古屋」などに登場します。唄や踊りのお師匠さんに入門するとき、挨拶として包んでいくお金だそうです。束脩のほうは師匠弟子の関係でなくても面会してもらえるお礼として持っていくのでしょうか。
 膝突きはご祝儀とおなじで、ふつうは領収書を発行しません。税吏の網をくぐりやすいお金のようですね。
(^^;)

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