人間の胃液を肌に塗るとどうなるの?
●●●●★科学★●●
問題:人間の消化液の代表選手、胃液の話です。
■若かりし頃はときどき暴飲をいたしました。いわゆるリバースという事態に至ったことも少なくありません。わが胃液はときどき定住地から重力にさからって食道を逆流し、歯の間を通過して路上を汚したり、便器におさまったりしたものです。衣類・布団類に染みついたこともあるようです。
■冷静に自分の胃液を眺めたことはありませんが、舌の感覚としては酸っぱいものでした。実際、胃液は酸性なんだそうです。臭いはけっして香しい(かぐわしい)ものではありません。というより、かなりの悪臭ですね。タクシーの運転手さんは乗客が不始末をしでかすと、あの臭いを消すのに苦慮すると聞きます。おそらく、どちら様の胃液も似たような悪臭なのでしょう。
■ところで、人間の胃液を取り出して人間の肌にそのまま塗るとどうなるのでしょうか?
[い]とくに何も起きない
[ろ]化学熱傷という薬品による火傷に近い状態になる
[は]火傷はしないが、ムズムズとかゆみを覚える
[に]とくに何も感じないが、洗い流してみると肌がつるつるになっている
[ほ]とくに何も感じないが、洗い流しても長く臭いが残っている
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)
●●●●★科学★●●
正解:[ろ]化学熱傷という薬品による火傷に近い状態になる
説明:胃酸の酸性はかなり強いようです。参考資料1ではpHが1~1.5。参考資料*3ではpHが2と表記されていました。「pH2といえば、皮膚にかけたらひどいやけどを負ってしまうほどの強い酸」だそうです*3。
■強い酸になっている最大の理由は、外部から食べ物にまぎれ込んで侵入してくる病原菌やウイルスを殺すためだそうです。よく知られている細菌では、コレラ菌は胃酸でほぼ死滅するそうです。大量の菌を摂取したときに限って感染するらしい。
■例外もいくつかあるようです。胃癌や胃潰瘍などの原因と疑われているヘリコバクター・ピロリ菌は、自身で酸を中和しながら胃液の中で生息できるとのこと。生意気な奴です。また赤痢菌も胃酸に対してかなりの抵抗力があるらしい。たった100匹ほどの菌でも感染することがあるとのこと。
■肌に塗れば火傷を負うという強い酸です。胃自体はどうやって胃酸の強酸から守られているのでしょうか。粘液だそうです。胃の壁の細胞から分泌される粘液が粘膜を覆ってから胃酸が分泌されるとのこと。胃酸の量が多かったり、粘液を分泌する力が弱まったりすると、胃酸で胃袋が傷つけられることもあるらしい。
■胃酸は1日に1.5~2.5L(リットル)ほど分泌されるそうです。2Lのペットボトル1本前後の強酸性の液体が分泌されるというのは驚きです。たしか御疾呼の排泄量も1日あたり1.5Lぐらいと聞いたことがあります。Wikipediaで調べるとたしかにそのぐらいらしい*4。水分摂取量とか汗の出かたにも左右されるようですが。
■胃の持ち主が昇天してしまうと胃の粘液が分泌されなくなるそうです。胃は防御装置を失い、胃液に浸食されるらしい。「自分自身の組織をどんどん消化していってしまう」とのこと*3。そういえば胃袋ではペプシンという蛋白質(たんぱくしつ)を分解する酵素が働くんでしたね。
◆参考*1:HP「胃液 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%83%E6%B6%B2
◇*2HP「熱傷 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%82%B7
◇*3書籍「知識ゼロからの身体の不思議」初版80~81頁、上野正彦著、ISBN978-4-344-90185-8、幻冬舎
◇*4HP「尿 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BF
ぬけられます→科学雑学クイズ一覧
問題:人間の消化液の代表選手、胃液の話です。
■若かりし頃はときどき暴飲をいたしました。いわゆるリバースという事態に至ったことも少なくありません。わが胃液はときどき定住地から重力にさからって食道を逆流し、歯の間を通過して路上を汚したり、便器におさまったりしたものです。衣類・布団類に染みついたこともあるようです。
■冷静に自分の胃液を眺めたことはありませんが、舌の感覚としては酸っぱいものでした。実際、胃液は酸性なんだそうです。臭いはけっして香しい(かぐわしい)ものではありません。というより、かなりの悪臭ですね。タクシーの運転手さんは乗客が不始末をしでかすと、あの臭いを消すのに苦慮すると聞きます。おそらく、どちら様の胃液も似たような悪臭なのでしょう。
■ところで、人間の胃液を取り出して人間の肌にそのまま塗るとどうなるのでしょうか?
[い]とくに何も起きない
[ろ]化学熱傷という薬品による火傷に近い状態になる
[は]火傷はしないが、ムズムズとかゆみを覚える
[に]とくに何も感じないが、洗い流してみると肌がつるつるになっている
[ほ]とくに何も感じないが、洗い流しても長く臭いが残っている
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)
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正解:[ろ]化学熱傷という薬品による火傷に近い状態になる
説明:胃酸の酸性はかなり強いようです。参考資料1ではpHが1~1.5。参考資料*3ではpHが2と表記されていました。「pH2といえば、皮膚にかけたらひどいやけどを負ってしまうほどの強い酸」だそうです*3。
■強い酸になっている最大の理由は、外部から食べ物にまぎれ込んで侵入してくる病原菌やウイルスを殺すためだそうです。よく知られている細菌では、コレラ菌は胃酸でほぼ死滅するそうです。大量の菌を摂取したときに限って感染するらしい。
■例外もいくつかあるようです。胃癌や胃潰瘍などの原因と疑われているヘリコバクター・ピロリ菌は、自身で酸を中和しながら胃液の中で生息できるとのこと。生意気な奴です。また赤痢菌も胃酸に対してかなりの抵抗力があるらしい。たった100匹ほどの菌でも感染することがあるとのこと。
■肌に塗れば火傷を負うという強い酸です。胃自体はどうやって胃酸の強酸から守られているのでしょうか。粘液だそうです。胃の壁の細胞から分泌される粘液が粘膜を覆ってから胃酸が分泌されるとのこと。胃酸の量が多かったり、粘液を分泌する力が弱まったりすると、胃酸で胃袋が傷つけられることもあるらしい。
■胃酸は1日に1.5~2.5L(リットル)ほど分泌されるそうです。2Lのペットボトル1本前後の強酸性の液体が分泌されるというのは驚きです。たしか御疾呼の排泄量も1日あたり1.5Lぐらいと聞いたことがあります。Wikipediaで調べるとたしかにそのぐらいらしい*4。水分摂取量とか汗の出かたにも左右されるようですが。
■胃の持ち主が昇天してしまうと胃の粘液が分泌されなくなるそうです。胃は防御装置を失い、胃液に浸食されるらしい。「自分自身の組織をどんどん消化していってしまう」とのこと*3。そういえば胃袋ではペプシンという蛋白質(たんぱくしつ)を分解する酵素が働くんでしたね。
◆参考*1:HP「胃液 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%83%E6%B6%B2
◇*2HP「熱傷 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%82%B7
◇*3書籍「知識ゼロからの身体の不思議」初版80~81頁、上野正彦著、ISBN978-4-344-90185-8、幻冬舎
◇*4HP「尿 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BF
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