町人思案橋・クイズ集

アクセスカウンタ

zoom RSS 駄洒落の絵看板。店の入り口に木馬を置いたのはどんな商売なの?

<<   作成日時 : 2011/02/10 07:10   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 42 / トラックバック 1 / コメント 0

画像
★日本語★
問題:日本人は昔から駄洒落が大好きですね。江戸時代の商店の看板にも、その遊び心があらわれているようです。
■たとえば江戸前期には、銭湯の看板に木で作った矢が使われることがあったそうです*1。戯作者・浮世絵師として知られる式亭三馬(しきていさんば)の「浮世風呂」(文化(ぶんか)6年(1809年)〜文化10年に刊行)には、「むかしは銭湯の看板に矢のかたちを木にてつくり、門口の目印としたり。弓射るといふ心なるよし、古き絵草紙にまま見及びぬ。今も遠境には用ふる所有り」という文章があるらしい。
■「弓」は「ゆ」とも読みます。たとえば弓弦は「ゆづる」と読みます。弓削(ゆげ)という苗字もあります。奈良時代の女帝孝謙天皇の愛人説で知られる弓削道鏡(ゆげのどうきょう)なんていう坊さんもいました。巨根伝説で知られる人物ですね。
■矢は「弓射る(ゆいる、弓を射る)」です。「湯入る」の駄洒落で矢の形が使われたらしい。19世紀に入っても、矢の看板は、田舎ではよく使われたようです。
■式亭三馬とほぼ同時代を生きた曲亭馬琴(きょくていばきん、滝沢馬琴)の「曲亭雑記」という随筆には、「自分が少年のころに甚左衛門町(東京都中央区日本橋のあたり)にあった」という記述があるとのこと。曲亭馬琴は明和(めいわ)4年(1767年)に生まれています。18世紀後半には江戸の中心地でも、「弓射る」の駄洒落の絵看板がみられたようです。
■参考資料*3によれば、絶滅危惧種ではありますが、現在でもごく一部の銭湯には残されているようです。矢の駄洒落だけではなく、木の板に「わ」とひらがなを書いて「営業中」、「ぬ」と書いて「準備中」を示す店もあるとか。「わいた/(湯が)沸いた」、「ぬいた/(湯を)抜いた」を意味するようです。なるほど。
■では駄洒落看板の問題です。商店の門口に目印として口絵のような姿の木馬を置いたのは、どんな商売の店でしょうか? (口絵は参考資料*1より)
[い]餅屋
[ろ]質屋
[は]白粉屋(おしろいや)
[に]両替屋
[ほ]荒物屋
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[い]餅屋
説明:餅屋の看板に木馬を置くのは、荒馬という駄洒落だそうです。「あら、旨い」というわけですね。餅屋だけではなく、饅頭屋の看板になっていたという説もあるらしい。曲亭馬琴と同時代を生きた柳亭種彦(りゅうてい たねひこ、戯作者)の「用捨箱(ようしゃばこ)」という随筆には、大坂(河内)の友人が送ってくれた看板の木馬の絵というのが掲載されているとのこと。江戸だけでなく、大坂でも駄洒落絵看板は使われていたらしい。
■質屋の看板には、将棋の駒を吊すというのがあったそうです。やはり柳亭種彦の「用捨箱」によれば、「金になる」あるいは「金銀にかえる」という意味か、と記されているらしい。
■昆布屋の看板には、富士山が使われたそうです。江戸時代には、昆布は別名「みずから」と呼ばれたらしい。水から出るものなので「みずから」。あるいは昆布の中に山椒の実を包んだ上方の菓子が「見ず辛」と呼ばれたところから転じて、いつのまにか昆布自体を「みずから」と呼ぶようになったという説もあるらしい。山椒の実が外から見えないのに辛いという意味だそうです。
■富士山は、第7代孝霊(こうれい)天皇の御世(紀元前4世紀ごろ)に、琵琶湖から一夜にして生まれたという伝説があるそうです。富士山は「(琵琶湖の)水から生まれた」ので、昆布屋の看板に使われたようです。現代の我々には「考え落ち」がきつすぎますね。
■余談です。落語の「淀五郎」にも富士山が一夜でできたという伝説にちなんだ台詞があります。歌舞伎の名優市川団蔵(だんぞう、團藏)が昨日までの大根ぶりとはうってかわって名演を見せる役者に驚いて、「富士の山は一晩で出来たというが、こいつも…」と独白する場面です。なお、実際の富士山は70万年ぐらい前から噴火が始まり、現在の3776mの山容になるのは1万年ぐらい前からだそうです。琵琶湖の湖水との関係は証明されていないようです*2。
■両替屋の看板には、分銅が描かれたりしたらしい。商売になくてはならぬものです。形に特徴があるので、目印として使いやすかったらしい。現在でも銀行を示す地図記号には、分銅が使われていますね。これは駄洒落ではありませんけど。
◆参考*1:書籍「日本のことば遊び」初版119〜124頁、小林祥次郎(しょうじろう)著、ISBN4-585-05303-4、勉誠出版
◇*2HP「富士山の大爆発を書いた本の予想は的中したのか?」
http://blog.q-q.jp/200707/article_43.html
◇*3HP「てれびゅう!: 『全国一斉!日本人テスト』 8月7日」
http://tview.sblo.jp/article/17745616.html

ぬけられます→日本語雑学クイズ一覧

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 42
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
かわいい

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「請合」と記された看板。掲げている店では何を売っているの?
●●●●●★歴史★● 問題:江戸時代にはネオンサインはありません。蛍光灯もなければ白熱電球もLED電球もありません。発光させるには、蝋燭とか菜種油に火を点けるしかなかったようです。夜、遠くから見える看板は作りにくいですね。でも看板業界は困りませんでした。なぜなら、江戸時代、堅気の商店の大半は、暗くなるとそうそうに閉店したからです。そのかわり朝は早かったようですが。 ■江戸時代の看板には、楽しいものがいろいろあります。たとえば湯屋、銭湯の看板です。看板というよりは目印なのかな。営業中は弓... ...続きを見る
町人思案橋・クイズ集
2017/06/07 11:03

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
駄洒落の絵看板。店の入り口に木馬を置いたのはどんな商売なの? 町人思案橋・クイズ集/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる