カメは1日にどのぐらい歩けるの?

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★科学★
問題:多くの人は学校時代に「ゼノンの詭弁」というのを聞いたことがあるでしょう。「アキレス(アキレウスとも)とカメ」の話が有名ですね*1。紀元前490年ごろ~430年ごろを生きたといわれる古代ギリシャの学者が唱えた詭弁です。
■アキレスというスポーツ用品製造会社に籍を置くAさん。学生時代は短距離選手として日本選手権にも出場したことがあります。Aさんは100m走のスタートラインにつきます。50m先にカメがいて、すでにゴールめざしてゆっくり散歩しています。号砲一発、Aさんも走り出します。
■Aさんとカメの速度比は100対1ぐらいでしょうか。Aさんが50mまで到達したとき、カメは5cmほど前にいます。さらにAさんが5cm進んだとき、カメは500μm(=0.5cm、マイクロmは100万分の1m)進んでいます。Aさんがむきになってさらに500μm進んだとき、カメは5μm先に進んでいます。Aさんが怒り狂って5μm進むと、カメは50nm(=0.05μm、ナノmは10億分の1m)先に進んでいます。
■Aさんがカメのいた地点まで到達すると、いつでもカメはわずかに先にいます。ナノの下はピコ、その下はフェムト、アト、ゼプト、ヨクト…と単位の接頭辞は続きます*2。接頭辞が尽きても「×10のマイナス○乗」という表記でいくらでも小さな数字は作れます。で、Aさんはついにカメに追いつかない。
■そうこうしているうちにAさんは胸を押さえて倒れます。Aさんはすでに95歳になっており、正真正銘の後期高齢者。籍を置くといっても単に名前だけ。非常勤の名誉顧問だったようです。若いときはともかく、今はかなり体力が衰えています。こんなややこしい話に巻き込まれ、心室細動(しんしつさいどう)を起こしたようです。準備を整えていた救命班がすみやかにAEDを活用し、Aさんは一命をとりとめたようです。よかった。よかった。Aさん、ぜひ100歳を越えて市長から表彰状をもらってください。
■もちろんこれは冗談ですが、Aさんとカメの位置関係についてのおかしな記述は2000年以上も前にゼノンというギリシャの変人、失礼、哲人がいったこととあまり変わっていません。アキレスと呼ばれる運動能力の優れた勇者はついにカメに追いつかないとゼノンは含み笑いをしながら言ったそうです。
■話はゴロッとかわって「ウサギとカメ」のお話です。あの山のふもとまでかけっこの競走をした両者は、ご存じのとおり、ウサギの油断によりカメが勝利を得ます。ゼノンより百数十年前、紀元前619年ごろ~564年ごろを生きたといわれる古代ギリシャの解放奴隷、イソップ(アイソーポスとも)の寓話ですね。
■ではここで問題です。「あの山のふまとまで」の距離が1kmだとした場合、カメはどのぐらいの時間をかけて勝利を得たのでしょうか? 科学雑誌「ニュートン」の2010年5月号の記事、「カメは1日に何メートル移動するか?」の記述をもとにして正解を判定することにします*3。ちなみにカメはミシシッピアカミミガメという種類であり、季節は夏。実験が行なわれたのは栃木県だそうです。
[い]約3時間
[ろ]約6時間
[は]約12時間
[に]約1日
[ほ]約3日
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★科学★
正解:[に]約1日
説明:参考資料*3では、栃木県立佐野高校生物同好会の青柳育夫(いくお?)教諭と生徒たちの実験結果が紹介されていました。三杉川(みすぎがわ)という地元の川で調査したそうです。カメの背中に発信器をつけて位置を確認したらしい。発信器は取り付け用具を含めると130gもあり、最新の携帯電話よりは少し重いようです。
■実験の結果、ミシシッピアカミミガメという種類のカメは、最大で1日に1010mも移動したとのこと。ウサギと競走するのであれば一所懸命になるでしょうから、この数値を採用してもいいと思われます。ほぼ1日であの山のふもとに着く計算ですね。
■クサガメという種類でも実験しているそうです。こちらは最大で395mの移動らしい。クサガメが相手ならウサギも勝てたのかな。
■なお1日に1kmを移動するミシシッピアカミミガメは、通称をミドリガメと呼ぶらしい。ミシシッピの名前通り、外国からやってきた動物だそうです。多くの場合、飼われていたものが捨てられて野生化するらしい。要注意外来生物という呼びかたをされているとのこと。在来種を駆逐し、環境を破壊する可能性があるようです*4。愛玩動物や愛児はなるべく遺棄しないようにしたいものです。
◆参考*1:HP「ゼノンのパラドックス - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
◇*2HP「ナノ - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%8E
◇*3雑誌「カメは1日に何メートル移動するか?」Newton (ニュートン) 2010年 4月号126~127頁、担当編集者赤谷拓和、ニュートンプレス
◇*4新聞「外来「野良ガメ」猛威 ペット育って 手に負えず… NPOが駆除作戦」100331読売新聞東京夕刊21頁

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