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zoom RSS 「前」という漢字が末尾につく言葉。「当たり前」はもとは「当然」の当て字だったの?

<<   作成日時 : 2010/11/04 07:26   >>

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★日本語★
問題:「前」という漢字が末尾につく言葉は「大辞泉」で調べると200語弱ありました。一丁前、腕前、男前、御前(おまえ、おめえ)などは、よく耳にしますね。
■昔の地名にもよく使われました。肥前(佐賀、長崎)、備前(岡山)、羽前(山形)、越前(福井北部)、陸前(宮城、岩手)などですね。千日前(せんにちまえ)、蔵前(くらまえ)、弘前(ひろさき)、松前(まつまえ)など訓読みでも使われます。
■さらに昔の女性の名前も多いようです。義経を産んだ常磐(ときわ)御前。義経の恋人静(しずか)御前。義経に敗れた木曽義仲の恋人巴(ともえ)御前。塩冶判官(えんやはんがん、忠臣蔵の役名)の正室顔世(かおよ)御前。彼女らは「ごぜん」という呼びかたです。
■玉藻の前(たまものまえ)という美女もいます。実は金毛九尾(きんもうきゅうび)の狐だそうです。突然変異かな。正体を見破られて那須の殺生石(せっしょうせき)になったといわれます。妖気を発し、上を飛ぶ鳥が落ちる石だそうです。「飛ぶものは 雲ばかりなり 石の上」という俳句が残されています。妖気はのちに火山性の亜硫酸ガスだと判明した模様です。
■本日は、末尾に「前」という漢字のつく言葉についての雑学クイズです。次のうち正しい記述はどれでしょうか? (正解は複数かも)
[い]「暴れ丹前」とは、「動きにくい」ところから「準備不足でいきなり行動して失敗する」という意味である
[ろ]「好い気前」は、「いいきまえ」と読み、「出し惜しみしない」という意味である
[は]「当たり前」は、「当然」の当て字「当前」から生まれた言葉である
[に]「乙御前」は、「おつなごぜん」と読み、「若く美しい娘」という意味である
[ほ]「獅子の分け前」は、「獅子であっても自分の取り分以上には受け取れない。約束は約束だ」という意味である
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[は]が正しい
説明:[い]「暴れ丹前」とは、「動きにくい」ところから「準備不足でいきなり行動して失敗する」という意味である(×)
■「暴れ丹前(あばれたんぜん)」というのは、「歌舞伎で、暴れ者に扮(ふん)する役者の着る丹前、またその役」だそうです。「丹前」は厚い綿入れの着物ですね。「褞袍(どてら)」とも呼ばれます。
□歌舞伎の「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」という演目では、南禅寺の山門に立った石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな」と京都の春景色を褒めます。「春の眺めは価(あたい)千金とは小さなたとえ。この五右衛門が目からは万両」と、泥棒らしく、故買屋で換金した場合の値を推測しているようです。この場面での石川五右衛門は、演出によっては丹前のような綿入れを着ているそうです。
□Wikipediaの丹前の項によれば、侠客役の多かった役者が丹前姿で六法を踏んで花道を出入りして人気を博したとのこと。丹前六法と呼ばれたらしい。これに関係があるのかもしれません。
□越前(福井北部)・越後(新潟)とか羽前(山形)・羽後(山形北部・秋田)、肥前(佐賀・長崎)・肥後(熊本)という地名があります。また、地名として丹後があります。ということは丹前地方があるのかと思いましたが、辞書によれば、丹前の意味として地名はないらしい。丹後は京都府北部だそうです。京都から旅する場合に、近いほうが「前」、遠いほうが「後」と命名されるようです。もし丹前があるとすれば、それは京都そのものになってしまうのかな。
[ろ]「好い気前」は、「いいきまえ」と読み、「出し惜しみしない」という意味である(×)
■正しくは、「いいきぜん」と読み、「自分勝手でいい気なさま」だそうです。「さっきパチンコですって来たと思ったら、もう場外で馬券を買うから金をくれと手を出す。好い気前なやつだ」などと使うらしい。
□「気前(きまえ)がいい」のほうは、「出し惜しみしない」という意味ですね。この場合の「気前」は、「さっぱりした気性である、金に執着しない」という意味らしい。
[は]「当たり前」は、「当然」の当て字「当前」から生まれた言葉である(○)
■「当然」という言葉は古くから使われていたようです。「當(まさ、当の古字)に然(しか)る」、必ずそうなる、そうすべきという意味で、現在とあまりかわらないようです。
□「当然」を「当前」とわざと書き換えているうちに、「当たり前」と訓読みした表現が生まれたという説が「大辞泉」や「日本国語大辞典(小学館)」などの辞書に載っています。
□これとは別に、「当前(あたりまえ)」は、「共同労働の収穫を分配するときに1人当たりの受けるべき配当」とか「1人前の分量」という意味もあるとのこと。労働の報酬を受け取ることは当然の権利なので「当たり前」という言葉が生まれた、という説もあるらしい。
[に]「乙御前」は、「おつなごぜん」と読み、「若く美しい娘」という意味である(×)
■正しくは、「おとごぜ」と読むそうです。「大辞泉」によれば、「末娘。また、若く美しい娘」という意味があるらしい。ただし、「顔の醜い女、おたふく、おかめ」という意味もあるとのこと。
□正反対の意味が同居している不思議な言葉ですね。以前に弊クイズでとりあげた「はばかる」という言葉に似ています。「はばかる」は、「遠慮する」という意味と、「はばをきかす」という意味が同居していました*2。
□狂言の面に乙(おと)と呼ばれるものがあるそうです。乙は、「顔の醜い女」のほうらしい。ただし、乙の面の写真をネットで調べてみると、妙に愛敬のあるものが多いようです*3。
[ほ]「獅子の分け前」は、「獅子であっても自分の取り分以上には受け取れない。約束は約束だ」という意味である(×)
■正しくは、「強者が、弱者を働かせて得た利益を独占すること」だそうです。イソップ寓話から生まれた言葉らしい。
□明治時代に伊藤博文などがドイツの鉄血宰相ビスマルクに面会したことがあるそうです。その際、ドイツのしたたかな政治家は、「小国が国際法に従順で、誠実な態度をとり続けていようと大国は平気で国際法を破るもの」という助言をくれたらしい*4。当時の日本は、国際社会の新入りという意識が強かったせいでしょうか、いじらしいほどに国際法を守ろうとしていました。そんなの意味ないかもよというご忠告ですね。
□今日、北方領土が日本になかなか返還されないのも、不可侵条約を破った国のせいです。日本もいつまでも無邪気に国際法を守るのに汲々とする必要はないのかもしれません。国際関係は単なる力関係であることをそろそろ悟るべきなのでしょう。
◆参考*1:日本国語大辞典(小学館)
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林
◇*2HP「ふたつの意味を兼ね備えた不思議な漢字「憚」は何と読む? 」
http://blog.q-q.jp/200605/article_56.html
◇*3HP「狂言面 乙(おと)」
http://nohmask21.com/oto.html
◇*4HP「明治日本に多大な影響を与えたビスマルク、プロイセン首相就任の日。国際法を守るなと助言したの?」
http://blog.q-q.jp/201009/article_18.html

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