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zoom RSS 暴走族の「夜露死苦!」は日本語の伝統を守った表記なの?

<<   作成日時 : 2010/09/16 07:27   >>

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★日本語★
問題:集団暴走行為というのでしょうか。昔は、改造バイク・改造車が群れて乱暴な運転をする場面を見かけましたね。最近でもあるのかな。
■昭和30年代には、カミナリ族なんて言葉もありました。マフラーの芯を外すオートバイが多かったらしい。この改造で速度を増すのでしょうか。あるいは音による示威行為に重点が置かれていたのかな。
■暴走族というのはちょっと悲しい子供たちだという説があります。勉強はできない。スポーツも駄目。楽器も苦手なら漫画も描けず美男美女でもないし話術も下手。ほとんど人から注目されることのない少年少女です。衆人環視のもと、「僕もここにいるんだよ、誰か僕を(私を)見て!」と叫んでいる姿が暴走行為である。う〜ん。そういうものなのかな。
■最近はあまり見かけませんが、以前には「夜露死苦!」とか「愛羅武勇!」などという落書きをときどき見かけました。妙な当て字だと思いましたが、Wikipediaを調べると、「夜露死苦!」のほうは万葉仮名にかなり近いらしい。暴走族の中にも教養のある子がいたのかな。
■万葉仮名は、「漢字の表す意味とは関係なく、漢字の音や訓をかりて国語の音を表記するのに用いた漢字」だそうです。万葉集に多く用いられたとのこと。ひらがなやカタカナの代用品だったようですね。
■たとえば、「あ」という発音には、「阿、安、英、足」などがあてられたそうです。「い」という発音には「伊、恰、以、異」などがあてられました。このうち、「安」と「以」は、草書体で書かれているうちに別の字体へと変わり、ひらがなの「あ」、「い」になったようです。
■Wikipediaの万葉仮名の一覧を調べると、「よ=夜」、「し=死」、「く=苦」という関係は万葉仮名においてもあったようです。「ろ」と発音する万葉仮名は、「路、漏、呂、侶」などが記されていますが、「露」は見あたりません。「路」は暴走族にふさわしい字に見えますけどなぜ使わなかったのかな。「夜路死苦!」では、夜の道路で事故を起こし、亡くなったり苦しんだりする連想が生まれるので避けたのでしょうか。
■本日は、万葉仮名で書かれた言葉を翻訳するクイズです。次の文字列は万葉仮名で書かれています。ひらがなに置き換えてください。1字が1音とは限りません。[い]と[ろ]は比較的わかりやすい。[は]以降はかなりの難題です。
[い]比佐迦多能 (枕詞)
[ろ]知波夜夫流 (枕詞)
[は]君香登於毛比弖 (最初の3文字は「きみかと」)
[に]還来麻泥 (最後の2文字は「まで」)
[ほ]夜乃深去者 (最初の2文字は「よの」)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「比佐迦多能」はひさかたのと読む
■「ひさかたの」は、「天(あめ・あま)」、空、月、雲、雨、光、夜、都」などにかかる枕詞ですね。百人一首でも知られる歌、「久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ」。桜の花があわただしく散るさまを詠んだ歌だそうです。紀友則(きのとものり)という平安時代初期の歌人の作品らしい。
□もう1つ使用例、百人一首から。「わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波」。海上の船から眺めると、白い波が雲のように見えるという錯覚を主題においた作品のようです。法性寺入道前関白太政大臣(ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん)、短く呼べば藤原忠通(ただみち)という人の作品とのこと。保元(ほうげん)の乱などにもかかわったという平安時代後期の貴族だそうです。
[ろ]「知波夜夫流」はちはやぶると読む
■「ちはやぶる」は、「勢いが激しい意で、神、また、地名『宇治(うぢ)』にかかる」枕詞だそうです。落語の「千早振る」では、千早という人気の高い花魁(おいらん、高級売春婦)が関取を袖にするので「千早、振る」という解釈になっています。
□「古事記」には、「知波夜夫流  宇遲能和多理迩…」という歌が記されているそうです。「ちはやぶる  うぢのわたりに…」と読むらしい。この「うぢ」は「宇治」なんでしょうかね。
[は]「君香登於毛比弖」はきみかとおもひてと読む
■「きみかとおもひて」は、枕詞ではありません。「君かと思って」という現代でも通用しそうな文句です。□参考資料*4には次のような例が挙げられていました。
「可敝里家流  比等伎多礼里等  伊比之可婆 保等保登之尓吉  君香登於毛比弖」。
これだけでは何のことか意味不明ですよね。
「かへりける  ひときたれりと  いひしかば  ほとほとしにき  きみかとおもひて」
と読むらしい。意味としては、
「罪をゆるされてお帰りになった人が都に着いたと聞いたので、あまりの嬉しさにあやうく死ぬところでした。あなたかと思って」
ということらしい。
□恋人の仮出所を待ち望んでいる女性の切ない気持ちが伝わるような歌です。参考資料*4の説明によれば、同罪の人が許されて都に戻ってきたのに、恋人はまだ許されていないらしい。平家打倒の陰謀があらわれて鬼界ヶ島に流された俊寛僧都(しゅんかんそうず)の愛人はこんな気持ちだったのかな*7。
[に]「還来麻泥」はかへりくるまでと読む
■「かえりくるまで」も枕詞ではありません。現代語の「帰り来る迄」とおなじ意味のようです。「還」という漢字は、漢和辞書「字通」によれば、「カン、セン、ゲン、かえる、めぐる」という字音・字訓があります。「還俗(げんぞく)」という熟語をつくります。いったん仏道に入り、僧侶となったものが俗世界に戻ることですね。「往還(おうかん)」という熟語は、「往復」とほぼおなじ意味らしい。
□万葉仮名では、1字が1音に対応する例だけでなく、1字で2音に対応したり、2字、3字で1音、2音、3音に対応する例もあるそうです。たとえば「1字=2音」の例では、「あり=蟻、まく=巻、かも=鴨」などがあるらしい。「2字=1音」では、「あ=鳴呼、い=五十、し=二二、ぶ=蜂音」などがあるそうです。「二二」の表記は「ににんがし」という九九と関係があるのでしょうか。「蜂音」はたしかに「ぶ」と聞こえますけど。大昔の人もこんな言葉あそびが好きなのかな。
[ほ]「夜乃深去者」はよのふけゆけばと読む
■「よのふけゆけば」も現代語風ですね。
□参考資料*6には次のような例が挙げられていました。
「烏玉之 夜乃深去者 久木生留 清河原尓 知鳥數鳴」
「ぬばたまの よのふけゆけば  ひさぎおふる きよきかはらに ちどりしばなく 」
意外にも、「夜が更けて河原で鳥が鳴いていた」という素直な歌のようです。もっと色っぽい内容かと勘違いしていました。
□ごく似た歌で、万葉集には次のような作品もあります。
「烏玉之 夜乃深去者 新宿能 怪帆手流尓 男女數鳴」
「ぬばたまの よのふけゆけば しんじゅくの あやしきほてるに だんじょのしばなく」
これはもちろん嘘です。失礼しました。
◆参考*1:HP「万葉仮名 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%87%E8%91%89%E4%BB%AE%E5%90%8D
◇*2HP「喩族歌、久米舞、橿原神宮、大伴家持」(ひさかたの)
http://www1.kcn.ne.jp/~uehiro08/contents/parts/111.htm
◇*3HP「万葉集 枕詞における用字研究「ちはやぶる」」
http://www1.kcn.ne.jp/~uehiro08/contents/parts/105_09.htm
◇*4HP「狭野弟上娘子、中臣宅守、天平12年、恋情、悲別、大赦、女歌」(きみかとおもひて)
http://www1.kcn.ne.jp/~uehiro08/contents/parts/106.htm
◇*5HP「万葉集 遣唐使 春日大社 光明皇后 藤原清河」(かへりくるまで)
http://www1.kcn.ne.jp/~uehiro08/contents/parts/06.htm
◇*6HP「宮滝、吉野離宮、山部赤人、聖武天皇、恭仁宮」(よのふけゆけば)
http://www1.kcn.ne.jp/~uehiro08/contents/parts/116.htm
◇*7HP「悲劇の人俊寛(しゅんかん)の命日。平家追討の謀議は愛人の密告で破れたの?」
http://blog.q-q.jp/201004/article_9.html

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