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zoom RSS 容赦ない現実と頓知を描いた童話「一寸法師」からの読み問題。「小槌」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2010/06/07 07:49   >>

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★日本語★
問題:「御伽草子(おとぎぞうし)」という昔の物語があります。「室町時代から江戸初期にかけて作られた短編物語の総称」だそうです。1冊の本としてまとまっているわけではなく、制作者の異なる一群の絵本・童話本を指すわけですね。
■いま、各地の大学や図書館には、16世紀から17世紀にかけてつくられた「御伽草子」のさまざまな原本が残されているようです。たとえば参考資料*2は慶應大学が保有する資料を原色で紹介しています。なかなか綺麗な絵本が多いようです。
■「御伽草子」の中には、いまでも絵本として読み継がれているさまざまなお話も含まれています。「一寸法師(いっすんぼうし)」、「浦島太郎」、「ものぐさ太郎」などですね。
■ただし、少なくとも「一寸法師」については、現在のお話とは違っています。強い苦味や辛味や酸味が取り除かれ、甘味が付け加えられています。お菓子風に仕立てられているのが現代のお話です。
■そういえば、「本当は恐ろしいグリム童話」という本がベストセラーになりましたね。絵本や童話の出版関係者は、子供は甘いものが好きと勝手に思い込んでいるのかな。子供たちの心がメタボになりそうで心配です。
■本日は、「一寸法師」のお話からの読み問題です。次の漢字・熟語はなんと読むでしょうか? 参考資料*1の振り仮名を正解とします。
[い]風情
[ろ]御器
[は]一興
[に]小槌
[ほ]銀(ギンでないほうの訓読み)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「風情」はふぜいと読む
■「風情」は、「大辞泉」などによれば「ふうじょう」とも読むそうです。「風流・風雅の趣・味わい」というのが大きな意味です。「風情のある建物」などといいますね。もうひとつには、「気配、様子、ありさま」という意味があります。
□「御伽草子の一寸法師」の中では、「化物風情(ばけものふぜい)」と使われていました。「化物のようなやつ」という意味で使われているらしい。
□一寸法師の両親は、カミサンが40歳になるまで子供がなかったそうです。大坂は住吉神社の神様にお願いしたところ、一寸法師を授かります。でも、身長が約3.03cmしかありません。高齢初出産です。住吉の神様も気をつかってくれたのかな。おそらくは安産だったはずです。「小さく産んで大きく育てる」わけですね。
□ところが、12、3歳になってもぜんぜん背は伸びなかったらしい。両親は、「こいつは化物のようなやつである。住吉大明神は、なんの罰のつもりで自分たちにこんな化け物風情を与えたのか」と嘆いたらしい。「あいつをどこかへやってしまいたい」なんて話をしているわけですね。それを耳にした一寸法師は、「親にもこんなふうに思われるのは残念である」とみずから家を出ていく決意します。一寸法師に安住の地はあるのでしょうか。なかなか現実は厳しいようです。現代の絵本とは違います。
[ろ]「御器」はごきと読む
■「御器」は、「蓋(ふた)のついた食器。特に、椀のこと」だそうです。一寸法師は、母親に頼み、針と麦藁(むぎわら)を貰い、刀と柄・鞘(つか・さや)とします。さらに「御器と箸」を貰い、都までの移動手段に使います。三十石船が往復していた淀川をさかのぼり京都に行こうというわけですね。三十石船の上りでは、船頭たちが引き綱を引いて力まかせにさかのぼりました。お椀に箸の櫂(かい)で淀川をさかのぼれるものなのか。現実としてはちょっとむずかしいかな。
□余談です。いわゆるゴキブリは、「御器かぶり」、つまり御器をかじる虫という意味だったそうです。嘘かホントか、明治時代にゴキカブリをゴキブリと誤って表記した本があり、それ以降はゴキブリが定着してしまったという話があります*3。
[は]「一興」はいっきょうと読む
■「一興」は、「ちょっとしたおもしろみ。それなりの楽しみ」という意味だそうです。また、「意外なこと、奇怪なこと」という意味にも使われるらしい。
□京都に到着した一寸法師は三条の宰相という貴族の家を訪ねます。「お頼みします」と声をかけます。三条の宰相がみずから出てきたらしい。ところが誰もいません。おかしいなと宰相が高下駄を履こうとすると、「踏まないでください」という声がします。一寸法師は高下駄の歯のあいだにいたらしい。一寸法師は三条の宰相に気に入られ、書生というか食客として滞在することになったようです。
[に]「小槌」はこづちと読む
■「小槌」は文字通り小さな槌ですね。「槌」はものを叩く道具です。一寸法師では「打ち出の小槌」として登場します。打ち出の小槌は、室町時代における「ドラえもんのポケット」ですね。
□三条の宰相邸でしばらく過ごした一寸法師は、宰相の娘に惚れてしまいます。身分も身体のサイズも違います。恋は成就しそうにありません。でも欲しいものは欲しい。脳のサイズも小さいはずですが、一寸法師はなかなかの策略家です。娘に米泥棒の罪を着せることに成功します。宰相に「こんな娘はいらん。どのようにでもお前が処分しろ」と言わせてしまいます。一寸法師はシメタとばかりに娘を連れて旅に出ます。したたかな奴です。
□途中で嵐にあって知らない島にたどり着きます。ここで2人の鬼にでっくわします。ここからは現代の絵本と似ています。身体の小ささを逆手にとった戦法で鬼たちを攪乱(かくらん)するわけですね。鬼たちは打ち出の小槌を放棄して逃げ出します。
□打ち出の小槌で最初に願ったのは長年の懸案、身長問題です。「われわれの背を、大きになれ」と打ちます。この場合の「われわれ」は一人称の謙称とのこと。
[ほ]「銀」はしろがねと読む
■「しろがね」は「白金」、「白銀」とも表記します。でも「銀」だけでも「しろがね」と読むそうです。昨今の欧州各国の財政危機のため、貴金属の価格が高騰しています。小売価格は白金だと1gあたり5000円前後。銀だと1gあたり50円台。おなじシロガネでも、白金と銀では100倍近い差があるようです。
□打ち出の小槌で大きな身体になり、御飯を出してお腹をくちくした一寸法師あらため六尺法師(?)と宰相の娘は、その後、たくさんの金銀財宝を打ち出の小槌で得たようです。あとは100%のハッピーエンドですね。都に帰って貴族となり、大坂の冷たい両親までも呼び寄せ、子孫も繁栄してみんな幸せに暮らしたようです。めでたし、めでたし。
◆参考*1:書籍「完訳日本の古典49『御伽草子集』」初版193〜201頁、ISBN4-09-556049-5、大島建彦校注・訳、小学館
◇*2書籍「図解御伽草子」慶應義塾図書館蔵、石川透著、ISBN4-7664-0987-6、慶應義塾大学出版会
◇*3HP「【★食事中禁★】家庭の嫌われ者、「阿久多牟之」とはなに? 」
http://blog.q-q.jp/200702/article_58.html

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