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zoom RSS 古典的な詐欺の方法は「たらいまわし」? それとも「さるまわし」?

<<   作成日時 : 2010/03/31 08:05   >>

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★日本語★
問題:世の中には変わった本があるものです。最近見つけた本では、「下等百科辞典」というのがありました。この本は尾佐竹猛(おさたけ たけき)という裁判官が「法律新聞」という媒体に書いた記事を集めたものらしい。明治末期から大正初期にかけ、約9年間にわたり執筆されていたようです。最近、批評社という出版社からまとめて復刻されています*1。
■尾佐竹猛は、裁判官なのに明治文化研究家としても知られるとのこと。大正の終わり頃には、吉野作造(さくぞう、政治学者・思想家)や宮武外骨(がいこつ、新聞史・風俗研究家)とともに明治文化研究会を設立したらしい*2。
■裁判を通じて接した連中から情報を仕入れたのでしょうか。下様(しもざま)に通じた人物だったようです。同時に、骨のある人物でもあったらしい。「下等百科辞典」の「ゐのうへ かほる」の項には次のように記されています。
---井上馨
---明治六年大蔵大輔在職中、村井茂兵衛所有の尾去沢銅山を強奪し、懲役二年の所、減刑罰金三十円に処せられたる前科者なり。現今にても金儲けのことならばその手段を選ばず、またしばしば所得税(査定額千五百円)を滞納し、当該吏員を困却せしむる一悪漢なり。世に之を元老と云ふ。元兇の誤なるべし。
■元老とは呼べない、元凶である。すごい表現ですね。解説によれば、この文章が「法律新聞」に掲載されたのは明治43年(1910年)10月5日だそうです。1年前に伊藤博文が暗殺されています。松方正義(まつかた まさよし)や、山縣有朋(やまがた ありとも)、西園寺公望(さいおんじ きんもち)などとともに、井上馨は元老として隠然たる影響力を保持していたころとのこと。
■ほとんどがでっちあげといわれる大逆事件は明治43年(1910年)から翌年にかけて起こっています。大逆事件は山縣有朋の陰謀説が強いようです。元老に逆らうことはかなり危ない時代だったと思われます。尾佐竹猛は、よくこんな記事を書きましたね。このとき、井上馨は満74歳。亡くなる5年前でした。尾佐竹猛は満30歳だったと思われます。
■余談です。最近、自衛隊の幹部が身内への訓示の中で、「首相が『信頼してくれ』というだけでは日米の軍事同盟は維持できない」と述べたところ、北沢俊美(としみ)という民主党の防衛大臣は幹部の処分を検討したとのこと*3。結局、文書で注意したそうです。幹部の発言は、たいへんあたりまえの話に聞こえます。「水は百度で沸騰します」という発言と似ています。誰も否定できない常識の範囲内の発言です。政治上の主義主張とは別の次元でしょう。素人には、落ち目の内閣が過剰反応しているようにも見えます。言論の自由は、むしろ明治にあり、平成にはないのかな。
■話が脇道にそれました。本日は、「隠語辞典の風を装った社会批評」ともいわれる「下等百科辞典」からの出題です。次に挙げる言葉の中で、詐欺の古い手口を示す隠語はどれでしょうか?
[い]あとまわし
[ろ]さるまわし
[は]たらいまわし
[に]えびすまわし
[ほ]ねじまわし
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[は]たらいまわし
説明:参考資料*1では歴史的仮名遣いで「たらひまはし」と表記されていました。次のような手口らしい。
■不動産屋や骨董店などにふらった現れた男が、「こんな物件(あるいは骨董品)を○○円ぐらいで探している」と行って帰ります。「探しておきましょう」といって別れた店に、数日後、物件や骨董品を売りたいという人物が現れます。相場よりもだいぶ高いような気がします。でも、ちょっと前に買いたいといって来た客の条件にぴったりです。短期間で儲かるんだからいいか。つい高値で買ってしまいます。
■で、探しているという人物に連絡をとろうとするのですが、もちろん連絡先はインチキです。しまった、やられた、となるわけですね。不動産は、場合によっては登記の書類がニセモノだったりするのでしょうか。骨董だとまるでニセモノなのに、欲につられて鑑定眼がぼやけてしまったりするのかな。
■最初に「買いたい」という人物は、それなりに信用されそうな設定が必要です。明治時代には、不良外国人に金を与えて購入者役をやらせたり、貧乏華族にやらせたりするのが流行したらしい。だまされるのは多く地方の人だったようです。
■尾佐竹猛氏の「たらひまはし」の文章の末尾には、貧乏な政治家の債権者に強く督促させ、その後に贈賄(買収)したい者が現金を持って訪ねるという手口が紹介されていました。当時、実際にそんな事件があったのかな。「たらひまわしの亜流か」と書かれていました。
◆参考*1:書籍「下等百科辞典」復刻本初版234頁、尾佐竹猛(おさたけ たけき)著、礫川全次(こいしかわ ぜんじ)校訂・解題、ISBN4-8265-0276-1、批評社
◇*2HP「尾佐竹猛 – Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BE%E4%BD%90%E7%AB%B9%E7%8C%9B
◇*3HP「北沢防衛相が陸自幹部の処分を検討 「信頼してくれでは同盟は維持できない」発言で(産経新聞) - Yahoo!ニュース」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100212-00000537-san-pol

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