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zoom RSS よく知られた短歌なのに「うそ」の可能性が高い作品はどれなの?

<<   作成日時 : 2010/03/26 07:20   >>

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★日本語★
問題:近代・現代短歌に含まれる「うそ」に関するクイズです。
■次の有名な短歌の中には、単なる想像で作られ、事実とはだいぶギャップがあるかもしれない…と疑われている作品があります。もちろん短歌は報告書ではありません。事実だけを伝えねばならないという約束はありません。とはいえ、あまりに事実とかけはなれた記述は、いかに創作とはいえ、読者側としても首をひねりたくなります。
■では、次の作品群のうち、事実とのあいだに大きな落差があるのではとの指摘を受けているのは、どの歌でしょうか?
[い]正岡子規(まさおか しき)の「くれなゐの 二尺伸びたる 薔薇の芽の 針やはらかに 春雨のふる」は想像の産物である。子規の家の庭には薔薇などなかった
[ろ]与謝野鉄幹(よさの てっかん)の「韓(から)にして、いかでか死なむ。われ死なば、をのこの歌ぞ、また廃れなむ」は想像の産物である。与謝野鉄幹は朝鮮に行ったことはなかった
[は]与謝野晶子(あきこ)の「鎌倉や 御仏なれど 釈迦牟尼は 美男におはす 夏木立かな」は想像の産物である。与謝野晶子は鎌倉を訪れたことはなかった
[に]伊藤左千夫(さちお)の「牛飼が うたよむ時に 世の中の あらたしき歌 大いに起る」は想像の産物である。伊藤左千夫は生涯を通じて肉体労働に従事したことはなかった
[ほ]石川啄木(たくぼく)の「たはむれに 母を背負ひて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず」は想像の産物である。石川啄木は親不孝な子供であり、母親を背負ったことなどなかった
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[ほ]石川啄木(たくぼく)の作品は、単なる想像の産物では…という疑いをもたれている
説明:「たはむれに 母を背負ひて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず」は、泣かせる短歌ですよね。親子の情。人の老い。読者の心に言葉がしみこんで来ます。短歌作りの名人ですね*5。
■ところが、石川啄木の肉親はどうも否定的な見方をしているようです。啄木の妹さんに光子さんというかたがおられるらしい。聖使女学院という学校を卒業後、キリスト教に帰依したかただそうです。三浦氏という牧師さんに嫁いだとのこと。社会事業家としても知られるらしい*3。
■このかたの「悲しき兄啄木」(昭和23年刊)という著作には、次のような一節があるとのこと。「兄は我ままで、母を困らせてばかりいました。夜中に饅頭(まんじゅう)が喰べたいといって寝ております母を起して、お饅頭をつくらせ、さあ出来ましたよと、母が枕元に、お皿に盛って運んできますと、あまり待たせるから、もう喰いたくなくなった、といって、それを母の顔に投げつけたりしました。そんな兄が母をおんぶするなど、絶対にあるはずがありません。あれは嘘です」*2。まっ、この記述を信ずるかどうかは読む人次第ですけどね。
■Wikipediaによると、啄木は3人の姉妹にはさまれた唯一の男児だったらしい。お母さんであるカツは啄木を溺愛していたそうです。だからワガママだったのかな。わがままだから母親をおぶわないという保証はない。たしかに、そうなんですけどね。
■発想としては、似たような作品の系譜はあるらしい。長屋の乱暴者を主人公にした落語にも、親不孝をいさめる大家さんが「たたかれて 痛くないとて 悲しがり」という川柳を引用する場面があります。六代目三遊亭圓生の「廿四孝」でも、そんなことを言っていました。
◆参考*1:書籍「短歌鑑賞入門」、永田義直(よしなお)編著、ISBN4-321-22704-6、金園社
◇*2書籍「近代作家エピソード辞典」初版22頁、村松定孝(さだたか)編、ISBN4-490-10290-9、東京堂出版
◇*3HP「三浦ミツ(社会事業)」
http://www5e.biglobe.ne.jp/~BCM27946/miuramitu.html
◇*4CD「圓生百席31「廿四孝」」六代目三遊亭圓生
◇*5HP「漢検準1級程度の書き取り問題。「ウバザクラ」はどう書くの?」
http://blog.q-q.jp/201003/article_2.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
石川啄木は、かなりムチャクチャな人だったようですね。
本の印税を受け取ったら、その足で吉原に行って、とうじの学校の教頭の1年分に相当する印税を、わずか1週間で使い切ったあげく金田一京助に借金をしにっていったりしていたようです。
北海道の記者時代にも遊んで借金したあげく夜逃げ・・・
実家は金持ちで、「・・・・・じっと手を見る」などという赤貧の生活というのはウソだったようですね。
実像は身勝手でワガママな男。
でも才能はあったようで・・・(-_-;)
ねこのひげ
2010/03/26 08:54
コメントをありがとうございます。

ワガママだけど才能がある。芸術家らしい人なんですね。
育成法としては、母親がとことん甘やかすこと。これだけじゃ、単にワガママな子供しかできないかな。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2010/03/29 08:01

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