本多光太郎がKS鋼の特許を取得した日。従来の磁石鋼の3倍もの保磁力があったの?

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★歴史★
問題:大正7年(1918年)の今日、2月22日。本多光太郎(こうたろう)らが永久磁石鋼「KS鋼」の特許を取得したそうです*5。
■大正3年(1914年)の勃発した第一次世界大戦の影響で、日本には欧州製の鉄鋼や磁石鋼は一切輸入されなくなります。日本は自前での開発・生産が必要になります。大正5年(1916年)、鉄鋼研究を目的として東北帝国大学理科大学に臨時理化学研究所第二部が発足されたそうです。
■研究主任をまかされたのが本多光太郎だそうです。東北帝大には陸海軍からも磁石鋼に関する強い開発要請があったとのこと。
■このころ、いちばん強い磁石鋼はタングステン鋼でした。でも日本では入手しにくい状況だったらしい。代替品を求めて本多光太郎は高木弘(ひろむ)の協力を得て磁石鋼の開発にいそしみます。
■組成の異なる膨大な試験材料を作っては焼成したそうです。ひとつひとつ磁気測定してその中から世界最強の磁石であるKS鋼を発見します。鉄に混ぜたのは炭素やクロム、タングステンなどだったらしい*4。KS鋼は保磁力がタングステン鋼の3 ~ 4 倍もありました。
■特許をとったKS鋼は、ドイツのシーメンス、アメリカのウェスティングハウスなどが使用許可を求めてきたそうです。多額の特許使用料を獲得したらしい。
■なお、KS鋼の世界記録を破ったのはやはり日本の研究者でした。特許取得の13年後の昭和6年(1931年)に東京帝国大学の三島徳七(とくしち)によって破られました。保磁力がKS鋼の3倍近くあったそうです。本多たちも負けていません。増本量(はかる)、白川勇記(ゆうき)らの努力もあり、MK鋼をしのぐ新KS鋼が開発され、2年で王座を奪回したらしい。
■その後昭和13年(1938年)に新KS鋼はゼネラル・エレクトリックのアルニコ磁石に記録を奪われます。それまで約20年のあいだ日本は磁石の最先端を保っていたらしい。
■現在でも、日本は磁石の分野では最先端の技術水準を保っているそうです。昭和57年(1982年)に開発されたネオジム磁石は住友特殊金属(現NEOMAX)の佐川眞人(まさと)によって開発されたとのこと。現在実用化されている磁石の中では最強の磁石だそうです。
■本多光太郎は、磁石鋼開発の功績を称えられ、昭和12年(1937年)に第1回の文化勲章を受章したそうです。
■本日は、日本の材料科学が世界に雄飛する節目となった日を記念し、本多光太郎氏にかんする雑学クイズです。次のうち正しい記述はどれでしょうか?
[い]KS鋼は、恩師である柴田敬之助(けいのすけ)の英頭文字をつけたものである
[ろ]結婚式に顔を見せず、周囲を慌てさせた。もしやと思って仲間が研究室に行ってみると、いつもどおり実験していた
[は]実験をしている若者たちにも「実験はどうでございますか」と敬語を使って話しかけた
[に]東北帝大総長をつとめていたころも、教育勅語の朗読で読みを間違えたり、読み飛ばしたりしていた
[ほ]御前講義の際に人に服を借用したが、背が高かったのでつんつるてんで見られたものではなかった。でも当人は規定に違反しなければそれでいいと気にもとめなかった
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[ろ]と[に]、[ほ]が正しい
説明:
[い]KS鋼は、恩師である柴田敬之助(けいのすけ)の英頭文字をつけたものである(×)
■正しくは、「住友吉左衛門(きちざえもん)の英頭文字」だそうです。住友吉左衛門というのは、住友家の当主が代々襲名した名前らしい。そのため、17代目まであるそうです。
□そのうちの1人が、本多光太郎たちに研究費を寄贈したらしい。その恩に報いるため、発明にはKSと名づけました。また、東北帝大は特許権は無償で住友に譲渡したようです。住友は英米独仏伊での特許権を確保し、シーメンスやウェスティングハウスから使用料を得ました。
□住友は東北帝国大学に当時の金で30万円をあらたに寄贈したとのこと。この金は臨時理化学研究所から常設の鉄鋼研究所へと改組される原資となったそうです。
[ろ]結婚式に顔を見せず、周囲を慌てさせた。もしやと思って仲間が研究室に行ってみると、いつもどおり実験していた(○)
■大学を卒業して早いうちに結婚したそうです。当日、両家の親・親族・媒酌人・花嫁などみな揃い、式が始まろうとしているのに花婿の姿が見えなかったらしい。床屋から来るのかなと待っていたけど、なかなか現れなかったようです。手分けして下宿や友人宅など探しまわったけど見つからなかったとのこと。
□もしやと思い、大学の実験室を調べたら、素知らぬ顔で実験していたとのこと。式の日を忘れてしまったのかな。
[は]実験をしている若者たちにも「実験はどうでございますか」と敬語を使って話しかけた(×)
■正しくは、「実験をしている若者たちにも癖のある接尾語をつけて話しかけた」だそうです。「なぁ」という言葉がどんな文にでもついたらしい。たとえば「君らは気がよわいのだな、もっと気を強くしなければいかんわなぁ」とか、「分析装置なら夜から朝まではあいているわなぁ」といった調子らしい。
□外国人に対して話すときもその調子で、それはたとえば、「It is なぁ a dog なあ」といった感じだったらしい。通じたのでしょうかね。
[に]東北帝大総長をつとめていたころも、教育勅語の朗読で読みを間違えたり、読み飛ばしたりしていた(○)
■研究以外のことにはあまり注意を払わない人だったようです。アブセント・マインデッド・プロフェッサー(心ここにあらず型教授?)の典型だったらしい。
□戦前の日本において天皇陛下の言葉である教育勅語はたいへん緊張して取り扱うべきものだったそうです。内村鑑三(かんぞう)が教育勅語(の書かれた紙)に対して敬礼をしたら、不敬として世論からきつい指弾を受けたと聞きます。最敬礼すべきものだったらしい。いまから思えば馬鹿馬鹿しい話ですが、当時の空気はそんなものだったようです。
□本多光太郎は教育勅語なんかあまり意に介していなかったのか、しょっちゅう読み間違いをしていたとのこと。誰もとがめなかったようです。人徳なのかな。
[ほ]御前講義の際に人に服を借用したが、背が高かったのでつんつるてんで見られたものではなかった。でも当人は規定に違反しなければそれでいいと気にもとめなかった(○)
■本多光太郎は6尺(約182cm)近い背の高い人だったらしい。昭和天皇に招かれて御前講義をするとき、人に服を借用したそうです。モーニングかな。でもつんつるてんでひどいさまだったとのこと。当人は、まるで気にしていなかったそうです。
◆参考*1:HP「本多光太郎 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AC%E5%A4%9A%E5%85%89%E5%A4%AA%E9%83%8E
◇*2HP「KS鋼 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/KS%E9%8B%BC
◇*3書籍「世界人物逸話大事典」初版912~913頁、朝倉治彦・三浦一郎編、ISBN4-04-031900-1、角川書店
◇*4HP「KINKEN*57 金研物語 第二部」
http://www-lab.imr.tohoku.ac.jp/~pro/kinken/57/sok2.html
◇*5HP「2月22日 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/2%E6%9C%8822%E6%97%A5

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この記事へのコメント

小僧
2011年03月13日 10:49
<特殊鋼業界に激震>
日立金属・神戸製鋼らが世界最大級の5万トンプレスを保有する新会社設立。エアロフォージ社は両社と石川島播磨重工・伊藤忠商事等が立ち上げの計画を公表。日立金属の合金設計に優れる特殊鋼技術や金型技術と神戸製鋼の持つ鍛造技術を融合させ、高性能部材が要求される航空機エンジン・発電プラント用のシャフトやブレードの製造を行い、2012年岡山にて製造開始予定。ここが操業開始すれば、日本製鋼所製の1万5千トンプレスを抜き、旧式で稼働率の低いロシアの7万5千トンプレスに次ぐ第二位で、実質的な有用性としては世界第一位となる。
小僧様<素町人
2011年03月13日 13:12
コメントをありがとうございます。
MAGIC
2012年02月17日 19:17
工具鋼は世界最強金属。
いつでも何度でも(安来)
2014年12月08日 23:48
呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも心躍る 夢を見たい

かなしみは 数えきれないけれど
その向こうできっと あなたに会える

繰り返すあやまちの そのたび ひとは
ただ青い空の 青さを知る
果てしなく 道は続いて見えるけれど
この両手は 光を抱ける



さよならのときの 静かな胸
ゼロになるからだが 耳をすませる

生きている不思議 死んでいく不思議
花も風も街も みんなおなじ

*
la la lan lan la lan la-la-la-la
lan lan la lan la-la-la-la
lan lan la la lan la la
la lan la-la-la-la lan

o ho ho ho ho ho ho-ho-ho-ho
lun lun lu lu-lu-lu-lu-lu-lu
lu-lu-lu-lu lun lu lu lu lun
lu lu lu___________

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