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zoom RSS 日露開戦を宣言した詔(みことのり)からの読み問題。「旦暮」は何と読むの?

<<   作成日時 : 2010/02/01 07:19   >>

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★日本語★
問題:本日の漢字クイズはかなり難易度が高い。明治時代の公式文書からの問題です。現代ではあまり目にしない熟語が並んでいます。
■これらの熟語が使われたのは、詔(みことのり、しょう)です。詔は「天子の命令を直接伝える文書」とのこと。「勅(ちょく、天子の命令。天皇の言葉)」と似たような言葉ですね。「勅」は口頭の場合もあれば文書の場合もあるようです。「大辞泉」などの定義から推測すると、「詔」は文書に限られているらしい。
■「文章寶鑑(ほうかん)」という本に「明治三十七八年宜戰の詔」という文章が掲載されています。日露戦争をおっぱじめるぞという詔らしい。「文章寶鑑」は、大正14年(1925年)に初版が出版されています。文章の手本となる名文や字句を整理してあるものです。何かを執筆する際に、手元において使う書物だったようです。
■では難題に挑戦していただきましょう。次の熟語はそれぞれなんと読むでしょうか? 「文章寶鑑」の振り仮名を正解としています。辞書の正解とは若干のずれがある可能性があります。また、旧かなづかい(歴史的仮名遣い)はあらためています。たとえば「いう」は「ゆう」、「くわう」は「こう」としています。
[い]有司
[ろ]釁端
[は]倚頼
[に]旦暮
[ほ]曠日彌久
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:
[い]有司はゆうしと読む
■「有司」は、「役人、官吏」という意味だそうです。「司(つかさ)」という漢字に、すでに「役人、官吏」という意味があるそうです。
□原文では、「百僚有司(ひゃくりょうゆうし)」と四字熟語で使われていました。「すべての役人は」というほどの意味かな。「…朕が陸海軍は宜(よろし)く全力を極めて露國と交戰の事に從ふべく、朕が百僚有司は宜く、各其職務に率(したが)ひ、其權能(権能、けんのう)に應(おう)じて、國家の目的を達するに努力すベし…」。「みんなそれぞれの仕事を頑張ってロシアをやっつけようぜ」という意味らしい。
□余談です。現代の中国語では、「公司(こんす)」は会社のことだそうです。漢字の意味からすれば、役所みたいに見えますね。「Company」の「コン」の音を採用したという噂もあります。
[ろ]釁端はきんたんと読む
■「釁端」は、「不和のはじまり」だそうです。日露開戦時の詔では「…今不幸にして露國と釁端を開くに至る、豈(あに)朕が志ならむや」とあります。「意に反することで残念だけれども、喧嘩は始まったよ」という意味かな。
□「漢和辞書「字通」によれば、「釁」という漢字は、「キン、ちぬる、すき、きず、あやまち」といった字音・字訓があります。「ちぬる」は「血塗る」らしい。礼器や武器などが新しく作られた場合、いけにえの血を塗りつけて邪気をはらう習慣があったらしい。ふるい中国のおまじないのようです。
[は]倚頼はいらいと読む
■「倚頼」という言葉は、「大辞泉」や「大辞林」には掲載がありませんでした。漢和辞書「字通」によれば、「依頼」とほぼおなじ意味のようです。「倚」という漢字は、「イ、キ、よる、もたれる、あやしい」という字音・字訓があります。「倚子(いす)」は「椅子」とおなじ意味のようです。
□日露戦争開戦の詔の中では、「朕は汝(なんじ)有衆(ゆうしゅう、国民)の忠實(ちゅうじつ)勇武なるに倚頼し、速(すみやか)に平和を永遠に克復し、以て帝國(ていこく)の光榮を保全せむことを期す」と使われていました。「下々が忠実で勇敢であることを頼りにしているぞ」という意味かな。
[に]旦暮はたんぼと読む
■「旦暮」は、「朝晩。あけくれ」という意味があるそうです。「旦」という漢字は「元旦」でも使われています。「(元日の)朝」という意味ですね。もうひとつ、「時機が迫っている」という意味で使われることもあるそうです。「自転車操業が続き、倒産は旦暮にあるだろう」といえば、会社はかなりヤバイ状況ですね。
□詔の中では次のように使われています。「惟(おも)ふに、文明を平和に求め、列國は友誼(ゆうぎ)を篤(あつ)くして、以て東洋の治安を永遠に維持し、各國の權利利u(権利利益)を損傷せずして、永く帝國(ていこく)の安全を將來に保障すベき事態を確立するは、朕夙(つと)に以て國交の要義(ようぎ)と爲し、旦暮敢(あえ)て違(たが)はざらむことを期す」。この場合は、「あけくれ」の意味で使われているのかな。
[ほ]曠日彌久はこうじつびきゅうと読む
■「曠日彌久」は、「むなしく日々を過ごして物事を長引かせること」だそうです。「曠日持久(じきゅう)」という四字熟語もおなじ意味らしい。「米軍基地の移転問題について、現政権は曠日彌久、有効な解決策を打ち出せないままである」…などと使うのかな。
□「曠」という漢字は、漢和辞書「字通」によれば、「コウ、あきらか、むなしい、ひさしい、とおい」という字音・字訓があります。「彌」という漢字は、「ビ、ミ、ひさしい、いよいよ」という字音・字訓があります。
□詔の中では、「…曠日彌久徒(いたずら)に時局の解決を遷延(せんえん、ひきのばす)せしめ、陽に平和を唱道(しょうどう)し、陰に海陸の軍備を増大し、以て我を屈從せしめむとす」と使われていました。(交渉はしているが)…ロシアは解決を引き延ばし、うわべでは平和を口にするけど裏では軍備を増強し、力で日本を押さえつけようとしている…という意味なのかな。
□なお、参考までに、「文章寶鑑」に掲載されていた詔を末尾に掲げます。こちらでは原文どおりに旧かなづかいを生かしています。また、振り仮名には、「帝國」を「ていごく」と読んだり、「ていこく」と濁らなかったり、いささかのゆらぎも見られます。なるべく原文のままにしてあります。
□参考資料*2の太平洋戦争開戦の詔もよく似ている部分があります。後者を起草した人は、「文章寶鑑」を手元において参考にしたのかしらん。そんなはずはないか。
◆参考*1:書籍「文章寶鑑」復版第3刷137〜138頁、大町桂月(けいげつ)編、柏書房
◇*2HP「開戦の詔書」
http://www.chukai.ne.jp/~masago/kaisen.html

【参考 明治三十七八年宜戰の詔】
天佑(てんいう)を保有(ほいう)し萬世(ばんせい)一系(けい)の皇祚(くわうそ)を踐(ふ)める、大日本國皇帝(だいにほんこくくわうてい)は、忠實勇武(ちうじつゆうぶ)なる汝有衆(なんぢいうしう)に示(しめ)す。
朕(ちん)茲(ここ)に露國(ろこく)に對(たい)して戰(たゝかひ)を宣(せん)す、朕(ちん)が陸海軍(りくかいぐん)は宜(よろし)く全力(ぜんりよく)を極(きは)めて露國(ろこく)と交戰(かうせん)の事(こと)に從(したが)ふべく、朕(ちん)が百僚(れう)有司(いうし)は宜(よろし)く、各(かく)其(その)職務(しょくむ)に率(したが)ひ、其(その)權能(けんのう)に應(おう)じて、國家(こくか)の目的(もくてき)を達(たつ)するに努力(どりよく)すベし、凡(およ)そ國際條規(こくさいでうき)の範圍(はんゐ)に於(おい)て一切(さい)の手段(しゆだん)を盡(つく)し、遺算(ゐさん)なからしむることを期(き)せよ。
惟(おも)ふに、文明(ぶんめい)を平和(へいわ)に求(もと)め、列國(れつこく)は友誼(いうぎ)を篤(あつ)くして、以(もつ)て東洋(とうよう)の治安(ぢあん)を永遠(えいゑん)に維持(ゐぢ)し、各國(かくこく)の權利利u(けんりりえき)を損傷(そんしやう)せずして、永(なが)く帝國(ていごく)の安全(あんぜん)を將來(しやうらい)に保障(ほしやう)すベき事態(じたい)を確立(かくりつ)するは、朕(ちん)夙(つと)に以(もつ)て國交(こくかう)の要義(えうぎ)と爲(な)し、旦暮(たんぼ)敢(あへ)て違(たが)はざらむことを期(き)す、朕(ちん)が有司(いうし)も亦(また)能(よ)く朕(ちん)が意(い)を體(たい)して事(こと)に從(したが)ひ、列國(れつこく)との關係(くわんけい)年(とし)を逐(お)ふてu(ます/\)親厚(しんこう)に赴(おもむ)くを見(み)る、今(いま)不幸(ふかう)にして露國(ろこく)と釁端(きんたん)を開(ひら)くに至(いた)る、豈(あに)朕(ちん)が志(こゝろざし)ならむや、帝國(ていこく)の重(おもき)を韓國(かんこく)に置(お)くや、一日(にち)の故(ゆゑ)にあらず、是(こ)れ兩國(りようこく)累世(るゐせい)の關係(くわんけい)に因(よ)るのみならず、韓國(かんこく)の存亡(そんぼう)は實(じつ)に帝國(ていこく)安危(あんき)の繋(かゝ)る所(ところ)なればなり、然(しか)るに露國(ろこく)は、其(その)清國(しんこく)との盟約(めいやく)列國(れつこく)に對(たい)する累次(るゐじ)の宣言(せんげん)に拘(かか)はらず、依然(いぜん)滿洲(まんしう)に占據(せんきよ)し、u(ます/\)其(その)地歩(ちほ)を鞏固(きようこ)にして、終(つひ)に之(これ)を併呑(へいどん)せむとす。若(も)し滿洲(まんしう)をして露國(ろこく)の領有(れういう)に歸(き)せんか、韓國(かんこく)の保全(ほぜん)は、支持(しぢ)するに由(よし)なく、極東(きよくとう)の平和(へいわ)亦(また)素(もと)より望(のぞ)むベからず。故(ゆゑ)に朕(ちん)は此(こ)の機(き)に際(さい)し、切(せつ)に妥協(だけふ)に由(よつ)て時局(じきよく)を解決(かいけつ)し、以(も)て平和(へいわ)を恒久(こうきう)に維持(ゐぢ)せむことを期(き)し、有司(いうし)をして露國(ろこく)に提議(ていぎ)し、半歳(はんさい)の久(ひさ)しきに互(わた)りて屢次(しば/\)折衝(せつしやう)を重(かさ)ねしめたるも、露國(ろこく)は一も交讓(かうじやう)の精~(せいしん)を以(もつ)て之(これ)を迎(むか)へず、曠日彌久(くうわじつびきう)徒(いたづら)に時局(じきよく)の解決(かいけつ)を遷延(せんえん)せしめ、陽(やう)に平和(へいわ)を唱道(しようだう)し、陰(いん)に海陸(かいりく)の軍備(ぐんび)を増大(ぞうだい)し、以(もつ)て我(われ)を屈從(くつじう)せしめむとす。凡(およ)そ露國(ろこく)が始(はじめ)より平和(へいわ)を好愛(こうあい)するの誠意(せいい)なるもの、毫(がう)も認(みと)むるに由(よし)なし。露國(ろこく)は既(すで)に帝國(ていこく)の提議(ていぎ)を容(い)れず、韓國(かんこく)の安全(あんぜん)は方(まさ)に危急(ききふ)に瀕し、帝國(ていこく)の國利(こくり)は將(まさ)に侵迫(しんぱく)せられむとす。事(こと)既(すで)に茲(こゝ)に至(いた)る、帝國(ていこく)が平和(へいわ)の交渉(かうせふ)に依(よ)り求(もと)めむとしたる將來(しやうらい)の保障(ほしやう)は、今日(こんにち)之(これ)を旗鼓(きこ)の間(あひだ)に求(もと)むるの外(ほか)なし、朕(ちん)は汝(なんぢ)有衆(いうしう)の忠實勇武(ちうじつゆうぶ)なるに倚頼(いらい)し、速(すみやか)に平和(へいわ)を永遠(えいゑん)に克復(ふくふく)し、以(もつ)て帝國(ていこく)の光榮(くわうえい)を保全(ほぜん)せむことを期(き)す。
(おしまい)
「文章寶鑑」に掲載された文書をなるべくそのまま写しています。ただし、人間の手で写していますので、100%の確率で誤りが含まれているものと思われます。悪しからず。
古い漢字で、パソコンでは表示できそうにない漢字があります。たとえば、「朕(ちん)」という漢字は、原文では偏の「月」の横棒が点になっています。また、旁(つくり)の上部が「八」になっています。この形の字は現在では、外字として扱う以外は、文字としては表示できないらしい。
また、環境に依存してしまう(表示されないパソコンがある)場合があります。それらは新しい漢字で代用しています。たとえば「既」という漢字は、原文では左側の偏の部分が上は「白」、下は「ヒ」になっています。あるいは、「清」という漢字は、原文では「月」の部分が「円」になっています。古い字はユニコード等の文字記号体系には採用されているものの、基本ソフト(OS)や応用ソフト(アプリ)の対応によっては表示されない場合があるとのこと。残念ながら代用品で済ませています。

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