昔の缶詰は銃で撃って破壊して中身を取り出していたの?

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★科学★
問題:1795年(寛政(かんせい)7年)。若き日の英傑ナポレオンは懸賞をかけたそうです。長持ちする食料の保存法を開発した者に賞金をあげるというお話だったらしい。フランス軍が遠征する際の食料確保が狙いだったようです。塩漬け・干物・燻製など、食べ物を長期保存する方法はいろいろ考えられていました。でもまだ物足りなかったようです。
■当時のナポレオンは、フランス軍中将、国内軍司令官に就任したかしないかの頃だったらしい。兵站(へいたん、人員・兵器・食料などの補給)の重要性を意識していたようですね。日本流に言えば、腹が減ってはいくさができぬ、かな。
■余談です。ベトナム戦争のころのアメリカ軍もいくつかの懸賞をかけたらしい。賞金は100万ドルぐらいだったと思います。当時ですと3億6000万円なのかな。いやもう変動相場制に突入したかな。3億円前後だったかもしれません。
■アメリカ軍の懸案のひとつが「雨の中を走るクルマにワイパーなしで視界を確保する方法」だったと記憶します。20歳前後だった町人は理科系の学生と一緒に真剣に考えました。答えはでませんでしたが、楽しかった。日本の自衛隊も懸賞金をかけて発明を募ってみたら面白いのにね。釣り船や漁船と自衛隊の艦船が衝突しない方法なんか衆知を集めれば簡単に答えが出たりして。
■それはともかく、賞金を獲得したのは菓子職人のニコラ・アペールという人物だったらしい。科学者でも技術者でもなく一介の職人が勝利を得たのが面白い。
■ただし、アペール氏は一朝一夕に勝利を得たわけではありません。参考資料*2によれば、1809年(文化(ぶんか)6年)になってようやく食物や容器を加熱し、密閉するという方法にたどりついたらしい。懸賞金獲得レースが始まってから14年が経過しています。皇帝になっていたナポレオンはスペイン半島で苦戦していたようです。
■本日は、ニコラ・アペール氏の栄誉を称えて、瓶詰と缶詰に関する雑学クイズです。次のうち正しい記述はどれでしょうか?
[い]ナポレオンはわずか500フランの賞金でこの発明を引き出した
[ろ]アペール氏は骨からゼラチンを抽出する方法も考え出した
[は]食物の腐敗について化学的な説明ができたのは1860年(万延(まんえん)元年)ごろ。パスツールが解明した
[に]缶詰の発明から数年たって缶切りが発明された
[ほ]缶切りのないときには金槌と鑿(のみ)で開けていた。ときには銃も使った
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★科学★
正解:[ろ]と[は]、[ほ]が正しい
説明:
[い]ナポレオンはわずか500フランの賞金でこの発明を引き出した(×)
■参考資料*2によれば、1万2000フランだったらしい。当時の1フランが現在のいくらぐらいかはわかりません。1815年(文化(ぶんか)12年)ごろからお話の始まるアレクサンドル・デュマの小説「モンテ・クリスト伯」では、5万フランで立派な邸宅が買えたらしい。これが10億円の邸宅とすると1万2000フランは2億4000万円ぐらいかなと憶測してみるのですが。
□アペール氏は懸賞金を元手に工場をつくったらしい。ただし、最初は缶詰工場ではなく、瓶詰工場だったようです。瓶詰ですと運搬がちょっとむずかしい。重いし割れやすい。1810年(文化(ぶんか)7年)にイギリスのピーター・デュランドという人物が缶詰に改良したらしい*1。熱処理後に密閉するという点はおなじですが、はるかに運びやすくなったようです。
[ろ]アペール氏は骨からゼラチンを抽出する方法も考え出した(○)
■アペール氏は固形スープの発明にも功績を残したそうです。酸を使わずに骨からゼラチンを抽出する方法を発明したらしい。方法についてはざっと調べた限りではわかりませんでした。
□アペール氏は瓶詰の発明後には「人類恩恵者」という肩書きを与えられるなど数々の名誉を与えられたらしい。ところがナポレオンの没落とともに運が傾き、工場も戦争で破壊され、晩年は貧しかったとのこと。
[は]食物の腐敗について化学的な説明ができたのは1860年(万延(まんえん)元年)ごろ。パスツールが解明した(○)
■アペール氏が参考にしたのは、スパランツァーニという人物が1765年(明和(めいわ)2年)に書いた熱殺菌による食料保存の文献だけだったそうです。アペール氏は学校にも行っていない人らしい。父親が居酒屋を経営していたので、酒や漬物作りを学んだだけのようです。勘と経験、そして粘り強さが勝利を導いたのかな。
□結局、熱処理した缶詰や瓶詰が長持ちする理由がわかったのは半世紀後の1860年(万延(まんえん)元年)になってからです。発酵や腐敗には細菌が関与している。パスツール氏が気づいたわけですね。
[に]缶詰の発明から数年たって缶切りが発明された(×)
■缶切りが発明されたのはなんと1865年(慶応(けいおう)元年)になってからだそうです。ブリキの発明がきっかけになったらしい。薄くて開きやすい素材なんでしょうね。
[ほ]缶切りのないときには金槌と鑿(のみ)で開けていた。ときには銃も使った(○)
■最初は金槌と鑿がつかわれたそうです。開けにくかったらしい。蓋を半田付けし、熱を加えて半田を熔かして開くという方式も考えられたそうです。
□戦場では銃で撃つという乱暴な方法も使われたらしい。当然ながらスープなどの液体は缶詰にできず、固形物が多かったようです。
◆参考*1:HP「缶詰 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BC%B6%E8%A9%B0#.E6.AD.B4.E5.8F.B2
◇*2書籍「世界を変えた100の発明・発見」初版176頁、糸川英夫監修、ISBN4-589-53247-0、PHP研究所
◇*3HP「フランス・フラン - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3

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