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zoom RSS 与謝野「鉄幹」という号は、「水道の本管」をイメージしてつけられたの?

<<   作成日時 : 2009/03/24 06:49   >>

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★日本語★
問題:ペンネームとか号と呼ばれる呼称は、本名とは異なり、ご当人のさまざまな思いが反映しているだけに、興味深い点があります。
■たとえば、「夏目漱石」の「漱石(そうせき)」は、学生時代、正岡子規の文章に批評を書いた際に初めて使われたといわれています。「漱石枕流(ソウセキチンリュウ、石に漱(くちすす)ぎ、流れに枕す)」という中国の故事から取ったらしい。「大辞泉」には次のように説明されています。「晋(しん)の孫楚(そんそ)が、『石に枕し流れに漱ぐ』と言うべきところを誤って『石に漱ぎ流れに枕す』と言ってしまい、とがめられると、石に漱ぐのは歯を磨くため、流れに枕するのは耳を洗うためだ、と言ってごまかしたという」。負け惜しみの強い自らの性格にぴったりだと思ったのでしょうか。
■本日は、近代の歌人たちの号についての雑学クイズです。5人の歌人たちの号についての次の記述のうち、正しいのはどれでしょうか?
[い]正岡子規(まさおか しき)の「子規」は、「ホトトギス」の意味である
[ろ]与謝野鉄幹(よさの てっかん)の「鉄幹」には、「水道の本管」のように大切なものを行き渡らせる大元という意味がこめられている
[は]石川啄木(いしかわ たくぼく)の「啄木」は、「キツツキ」の意味である
[に]窪田空穂(くぼた うつぼ)の「空穂」という言葉は本人の造語であり、殻ばかりで中身の実らない穂という自虐の意味がこめられている
[ほ]尾上柴舟(おのえ さいしゅう)の「柴舟」から、金沢の銘菓「柴舟」が生まれた
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[い]と[は]が正しい
説明:[い]正岡子規(まさおか しき)の「子規」は、「ホトトギス」の意味である(○)
■「子規」は、「ホトトギスの別名」だそうです。正岡子規の本名は、常規(つねのり)というそうです。明治30(1897)年に子規が松山で創刊した俳句雑誌の名前も「ホトトギス」というものでした。常規氏はホトトギスを気に入っていたようです。「規」という漢字が共通しているのがよかったのかな。
□ホトトギスは、「テッペンカケタカ」と聞こえる鳴き声が特徴的だといわれます*2。托卵(タクラン)という習性でも知られます。鶯(うぐいす)などの卵を巣から蹴落とし、その巣に自分の卵を産みつけ、孵化・子育てを鶯などにまかせるという不道徳な習性です。常規氏は、ホトトギスの背徳性については目をつぶったようです。
□せっかくですから、子規氏の歌を一首。「くれなゐの 二尺伸びたる 薔薇の芽の 針やはらかに 春雨のふる」。「庭前即景」と題された十首のうちの一首、明治33(1900)年の作品だそうです。  
[ろ]与謝野鉄幹(よさの てっかん)の「鉄幹」には、「水道の本管」のように大切なものを行き渡らせる大元という意味がこめられている(×)
■「鉄幹」を辞書で引くと、「梅などの古木の幹」という意味があるそうです。「水道の本管」という意味はなさそうです。
□与謝野鉄幹氏は、本名を与謝野寛(ひろし)というらしい。明治6 (1873)年生まれです。23(1890)年ころから「鉄幹」という名前を使い始めたそうです。
□新詩社(シンシシャ)という詩人・歌人の結社を設立し、機関誌として詩歌雑誌「明星(ミョウジョウ)」を創刊しています。芸能雑誌ではありません。「明星」では、与謝野晶子(あきこ)、高村光太郎(たかむら こうたろう)、石川啄木、北原白秋(きたはら はくしゅう)らが活躍したとのこと。
□鉄幹氏の歌を一首。「われ男の子(おのこ) 意気の子名の子 剣の子 詩の子恋の子 ああ悶えの子」。鉄幹という固い名前ではありますが、とても人間臭い人物のようです。
[は]石川啄木(いしかわ たくぼく)の「啄木」は、「キツツキ」の意味である(○)
■辞書を引くと、啄木は「キツツキの別名」と書かれています。「啄」という漢字は、漢和辞書「字通」によると、「タク、ついばむ、くちばし」といった字音・字訓があるらしい。文字どおり、木をついばむ鳥なんですね。実際には木の中にひそむ小さな虫をついばんでいるようですが。
□啄木氏は明治19(1886)年に生まれ、明治45(1912)年に亡くなっています。短い生涯で残した歌は、生活苦がにじみ出ていて暗い作品が多いと聞きます。どうも苦手ですね。貧乏だから手を凝視するとか、母親を背負って歩けなくなったとか、甲殻類をいじめながら涙を流したとかいわれても挨拶に困ります。そんな中で影を感じない一首。「ふるさとの 山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山は ありがたきかな」。
[に]窪田空穂(くぼた うつぼ)の「空穂」という言葉は本人の造語であり、殻ばかりで中身の実らない穂という自虐の意味がこめられている(△)
■「大辞泉」によると、空穂とは、「矢を納めて射手の腰や背につける細長い筒」だそうです。竹で作って漆で仕上げるものらしい。毛皮や鳥毛・毛氈(もうせん)の類を張ったものもあるとのこと。「自虐の意味をこめた自身の造語」説は素町人が捏造した話です。偶然にあっている可能性もまったくゼロとは限りませんので△にしました。限りなく×に近い△ですね。
□窪田空穂氏は、明治10(1877)年に長野に生まれた国文学者であり、歌人です。本名は通治(みちはる)とのこと。与謝野鉄幹らが設立した新詩社という任意団体に属したらしい。早大教授をつとめ、万葉・古今・新古今の評釈などにすぐれた業績を残したそうです。
□窪田空穂氏の作品を一首。「音たてて ふむにくづるる 霜ばしら 母にわかれて 国いでていく」。
[ほ]尾上柴舟(おのえ さいしゅう)の「柴舟」から、金沢の銘菓「柴舟」が生まれた(×)
■金沢の銘菓「柴舟(しばふね)」は、生姜と砂糖を塗った煎餅だそうです。金沢のお菓子として江戸時代から知られていたらしい。尾上柴舟(さいしゅう、しばふねとも)氏は、岡山県津山市の出身だそうです。明治9(1876)年の生まれですので、順番からいっても、柴舟氏の名前をとって銘菓が生まれたということはなさそうですね。
□尾上柴舟氏は本名を八郎といったらしい。菓子、失礼、歌誌「水甕(みずがめ)」を創刊しています。
□尾上柴舟氏の歌を一首。「日を経たる 林檎の如き 柔らかさ 今日の心の この柔らかさ」。心が柔らかいなと感じる日は確かにありますよね。
◆参考*1:書籍「短歌鑑賞入門」永田義直(ながた よしなお)著、ISBN4-321-22704-6、金園社
◇*2HP「ホトトギス(鳴き声)」
http://www9.big.or.jp/~mishii/bird/hototogisu.html

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