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zoom RSS 「悪口を 古今綺麗に 初手に書き」とは誰をからかった川柳なの?

<<   作成日時 : 2008/12/22 06:52   >>

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★日本語★
問題:もうじき正月ですね。昭和30年代の子供は、ホントに童謡「♪お正月」のとおりに凧(たこ)をあげ、独楽(こま)を回して遊んでいました。女の子は百人一首で遊んでいたらしい。とはいっても、坊主めくりなんでしょうけどね。
■落語の「祟徳院(すとくいん)」ではありませんが、江戸時代には、かなり多くの人が百人一首を覚えていたようです。明治に入っても、尾崎紅葉(おざきこうよう)の小説「金色夜叉(こんじきやしゃ)」の冒頭の場面に見られるように、歌留多(かるた)は人気があったようです。当然ながら、パロディとして狂歌も生まれ、川柳も生まれました。
■次の川柳は、それぞれ百人一首に採用された歌の作者をからかった川柳です。それぞれ誰をからかった川柳なのか当ててください。
[い]「この猫で 俗の時なら 銀煙管(ぎんぎせる)」
[ろ]「白浪(しらなみ)の 噂、式部が 来るとやめ」
[は]「悪口を 古今(ここん)綺麗(きれい)に 初手(しょて)に書き」
[に]「よく書くが 好かぬ手風(てふう)と 時平言ひ」
[ほ]「智ではじめ 徳でおさめる 小倉山」
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「この猫で 俗の時なら 銀煙管(ぎんぎせる)」は西行法師をからかっている
■西行法師(さいぎょうほうし)は、百人一首86番目の歌、「嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな」という歌の作者です。
□「物を思う」という箇所の解釈が問題です。ネットを調べると、異性問題で悩んでいるとする解釈がいくつか見られます。「女に振られて泣いているのに、自分は涙を月のせいにしている」と反省している歌だという説らしい。
□この説明がホントだと面白いですね。「法師」ですから坊さんです。出家前に作られた歌なら問題ありません。頭を丸めてからの作である場合、仏に仕える身で煩悩に振り回されていることになります。まっ、それもいいのかな。生身の人間らしさがありますね。
□西行はもとは北面の武士。23歳で出家して諸国を行脚したらしい。文治2(1186)年、鎌倉の源頼朝に招かれて兵法を講じています。お礼として白銀の猫をもらったとのこと。西行は、門前で遊ぶ子供らに惜しげもなくあげてしまったという伝説がよく知られています。川柳はこの逸話に基づいているようです。「銀で作られた猫は、出家前なら子供にあげたりせず、自分用の煙管(きせる)に作り直したことだろう」という憶測らしい。出家後の法師は、肉欲にはときどき負けるけど、金銭欲・物欲には勝ったのかもしれません。
[ろ]「白浪(しらなみ)の 噂、式部が 来るとやめ」は和泉式部をからかっている
■和泉式部(いずみしきぶ)は、百人一首56番目の歌、「あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな」という歌の作者です。「私はもうすぐ死んでしまうでしょう。最後の思い出にひと目会いたい」という歌らしい。
□和泉式部は、藤原道長(みちなが)に「浮かれ女」と評されたほど恋愛遍歴の多い女性だったらしい。それだけ女としての魅力があったのでしょう。2番目の旦那である藤原保昌(やすまさ)とは40歳を過ぎて結婚したらしい。
□藤原保昌の弟が保輔(やすすけ)だそうです。袴垂保輔(はかまだれやすすけ)とも呼ばれ、盗賊の首領で、逮捕状が何回も出ているらしい。ただし、藤原と袴垂は別人とする説もあります*5。
□川柳では別人説は採用していないらしい。白浪は泥棒のことですね*6。和泉式部の身内が身内だから、彼女の前では泥棒の話題は遠慮するという意味らしい。
[は]「悪口を 古今(ここん)綺麗(きれい)に 初手(しょて)に書き」は紀貫之をからかっている
■紀貫之(きのつらゆき)は、百人一首35番目の歌、「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞむかしの 香ににほひける」という歌の作者です。「人の心は知らないが、昔なじみのこの里の花だけは、昔と変わりなくよい香りで美しく咲いている」という意味だそうです。「年々歳々花あい似たり 歳々年々人同じからず」という漢詩にちょっと似ているのかな。
□紀貫之は、古今集の編纂者だそうです。古今集の前書きでは、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)と山部赤人(やまべのあかひと)を褒めています。六歌仙と呼ばれる人々の悪口も書いてあるらしい。
□たとえば、僧正遍照(そうじょうへんじょう)は、「うたのこゝろをえたれともまことすくなし」と言われています。上手だが嘘が多いという意味かな。川柳は、前書きに記された悪口の話らしい。「初手」とは、「はじめ、しょっぱな」という意味です。
□六歌仙とは僧正遍照(遍昭とも)、在原業平(ありわらのなりひら)、文屋康秀(ふんやのやすひで)、喜撰法師(きせんほうし)、小野小町(おののこまち)、大伴黒主(おおとものくろぬし、大友とも)だそうです。
[に]「よく書くが 好かぬ手風(てふう)と 時平(しへい)言ひ」は菅原道真(菅家)の筆跡についての発言だ
■菅原道真(すがわらのみちざね)は、百人一首24番目の歌、「このたびは ぬさもとりあへず 手向山(たむけやま) 紅葉の錦 神のまにまに」」という歌の作者です。「急な旅立ちなので捧げ物もできません。美しい紅葉が咲いているのでこれで勘弁して」という歌らしい。昔の人は旅をするときには道祖神などの神様に安全を祈願し、供物をそなえる習慣があったようです。
□菅原道真はお習字が上手ということでも知られています。空海(くうかい)、小野道風(おののとうふう)と並んで「書の三聖」と呼ばれているらしい。藤原時平(ふじわりのしへい、ときひら)は道真を陥れ、大宰府に飛ばした政敵です。時平にしてみれば、いくら上手でも道真の書は好きになれないだろうという川柳のようです。
[ほ]「智ではじめ 徳でおさめる 小倉山」は藤原定家(権中納言定家)をからかっている
■藤原定家(ふじわらのていか)は、百人一首97番目の歌、「来ぬ人を まつ帆の浦の 夕なぎに やくや藻塩(もしお)の 身もこがれつつ」という歌の作者です。「夕方に焼くという藻塩のように、自分も片思いの恋に身を焦がしている」という熱い歌だそうです。
□藤原定家は、ご存知のように百人一首をまとめた人物です。小倉百人一首最初の歌は天智天皇(てんじてんのう、てんちとも)の、「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」です。最後の歌は、順徳院(じゅんとくいん)の「ももしきや 古ふるき軒端(のきば)の しのぶにも なほあまりある むかしなりけり 」という歌です。「智で始まり徳で終わる」というのは作者名から来ているらしい。「智、仁、勇」などは、徳目として数えられます。縁語でまとめた川柳のようです。
◆参考*1:書籍「川柳和漢人物史」山本成之助著、牧野出版
◇*2HP「古今和歌集 上 (元永本古今集)」
http://www.saigyo.org/cgi-bin/cr3.cgi?genei-txt
◇*3HP「百人一首平成絵巻本(千絵崇石せんえしゅうせき)」
http://homepage1.nifty.com/kasen-e/
◇*4HP「小倉百人一首」
http://contest2.thinkquest.jp/tqj2003/60413/index2.html
◇*5HP「伝説の大泥棒「袴垂保輔」は、けっこう頭のいい男? 」
http://blog.q-q.jp/200607/article_64.html
◇*6HP「「知らざァいって聞かせやしょう」とはどんな芝居に出てくる名文句なの?」
http://blog.q-q.jp/200807/article_15.html

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