都営トロリー・バス最後の日。環境にやさしい交通機関はなぜ絶滅したの?

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★歴史★
問題:昭和43(1968)年の今日、9月30日。東京都が運営していた今井~上野公園間のトロリー・バス路線が廃止となりました。これで東京都からトロリー・バスが消えました。
■ひょっとしたら、若いかたはトロリー・バスをご存じでないかもしれません。日本語では無軌条電車(むきじょうでんしゃ)と呼ばれます。見かけはバスです。屋根には集電装置が設置されています。トロリー・ポールと呼ばれる棒の先に滑車がつけられ、架線から電気が導かれるそうです。電車でいえばパンタグラフに相当する装置らしい。原則としてエンジンは装備しません。モーターだけで動きます。騒音が少ない。排気ガスが出ない。当然ながら、道路にはトロリー・バス専用の架線が張られます。
■トロリーは、「troley」と綴るらしい。トロリー・バスは「Trolleycoach(トロリー・コーチ)」、あるいは「Tracklesstrolley(トラックレス・トロリー)」と呼ばれるそうです。アメリカやイギリスでも運行されていたのかな。おそらくブラジルのリオデジャネイロにもあったのでしょう。ボサノバの大御所ジョアン・ジルベルト氏のアルバム「彼女はカリオカ」には、「♪トロリー・ソング」という歌がありました。「カリオカ」は、「リオデジャネイロで生まれ育った人」という意味らしい。
■では、温室効果ガスを直接には放出せず、環境にやさしいトロリー・バスが都内で絶滅した日をいたみ、雑学クイズです。次のうちで正しい記述はどれでしょうか?
[い]トロリー・バスは架線を張るだけなので路面電車よりも簡単に敷設できる
[ろ]最初のトロリー・バスは昭和22(1947)年に走り出した
[は]日本で最初に製造されたトロリー・バスは、韓国に輸出される予定だったが、戦争の影響で国内で使われることになった
[に]雨や雪に弱いのが絶滅の理由である
[ほ]エンジンを搭載したトロリー・バスも存在した
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[い]と[に]、[ほ]が正しい
説明:[い]トロリー・バスは架線を張るだけなので路面電車よりも簡単に敷設できる(○)
■路面電車は、道路を掘り返し、線路を敷設しなければなりません。手間もお金も時間もかかります。大地震には弱いそうです。関東大震災のとき、市電が壊滅状態になりました。T型フォードの車体だけをたくさん輸入し、小型のバスに仕立てて公共交通機関を確保したといわれます*3。いわゆる円太郎バスですね。
□一方、トロリー・バスの工事は電線を張るだけです。少し楽そうです。地震に弱いのは路面電車と同じでしょう。でも復旧は路面電車よりはずっと早そうです。
□路面電車はいまでも東京にわずかに残されています。たとえば早稲田と三輪橋(みのわばし)を結ぶ荒川線です。下高井戸と三軒茶屋を結ぶ東急世田谷線なども、少しだけ路面電車風の趣きが感じられます。
□なお、全国を眺めると、トロリー・バスはかすかに生き残っているようです。富山県にある黒部ダムの近くで走っているトロリー・バスが唯一のものらしい。自然を破壊しないようにとの配慮のようです。
[ろ]最初のトロリー・バスは昭和22(1947)年に走り出した(×)
■正しくは、「…昭和27(1952)年に…」だそうです。同年5月20日、上野公園と今井を結ぶ路線が最初に開通しました。今井は、江戸川区にあるそうです。以後、池袋・千駄ヶ谷間、千駄ヶ谷・渋谷間、渋谷駅・品川駅間など1950年代は路線が増えていきます。1960年代に入ると、逆に廃止される路線が出てきたようです。
[は]日本で最初に製造されたトロリー・バスは、韓国に輸出される予定だったが、戦争の影響で国内で使われることになった(×)
■正しくは、「…中国に輸出される予定だったが…」だそうです。昭和25(1950)年に朝鮮戦争が勃発します。中国天津市に送られるはずでしたが、共産圏への禁輸措置の対象となり、都営交通で利用されることになったらしい。
□16年の運行期間で、6形式121両が使われたようです。ちなみに、都営バスは平成18(2006)年4月1日現在で1467両の車両が運行しているそうです*2。
[に]雨や雪に弱いのが絶滅の理由である(○)
■モーターが床下に設置されていましたが、大雨で浸水すると機能しなくなりました。積雪時には、漏電防止のため、タイヤチェーンが装着できなかったらしい。
□その他にも、いくつか理由があります。踏切には架線が設置できません。架線から集電装置をはずし、補助エンジンを使って踏切をこえ、再び集電装置を架線につけるという作業が必要だったらしい。ちょっと手間ですね。
□1960年代になってクルマの数が増えてくると、架線の下だけしか走れないトロリー・バスは渋滞の原因ともなりました。都電もおなじ理由で廃止され、バスに交替していきます。
[ほ]エンジンを搭載したトロリー・バスも存在した(○)
■前項で触れたように、踏切を越す路線は、補助のディーゼル・エンジンを搭載した車種が使われました。踏切を越すためだけに、重いエンジンを装備するというのは、無駄が大きい。いまなら、電池の技術が進歩していますので、踏切越えをするぐらいの電力は貯えられると思いますけど。
□子供のころ、渋谷の駅前で、雨の中を走るトロリー・バスを見かけました。ポールの先、架線に触れているあたりで盛んに青い火花を散らしていました。架線からわずかに離れる瞬間に、水でショートするのでしょうか。記憶では、火花のたびに白い煙がふっと見えたような気がします。
◆参考*1:HP「都営トロリーバス – Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%BD%E5%96%B6%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%82%B9
◇*2HP「都営バスの概要 | 東京都交通局」
http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/information/service/bus.html
◇*3HP「大正時代の面白い流行語。「あなたは三越ね」と言われたら、喜ぶべきなの?」
http://blog.q-q.jp/200805/article_12.html

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