台風特集2/3。台風はどのように生まれ、成長していくの?

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★科学★
問題:台風は熱帯低気圧だそうです。そもそも低気圧には3種類あるらしい。まず、どこにも発生する局地的で短時間しか持続しない低気圧があります。2番目には、寒気と暖気がぶつかりあい、暖気が寒気の上に上昇していくことで発生する低気圧があります。これは発生する場所にちなんで温帯低気圧と呼ばれるらしい。最後に台風のような熱帯低気圧があります。熱帯の海域でのみ発生するものだそうです。
■本日のクイズは、台風はどのように発生し、どのように成長するのか。台風の人生行路についての雑学です。次のうちで正しい記述はどれでしょうか?
[い]台風は海水面の温度が25度Cを超える海で誕生する
[ろ]台風は、暖かい南の海で出来たいくつかの積乱雲が合併・統合されて大きな気象現象となったものである
[は]台風の目は渦による遠心力でできる
[に]台風のコースは小笠原高気圧の動向で決まる
[ほ]台風の西側に高気圧があったときには、風や雨の被害が甚大になる傾向がある
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★科学★
正解:[は]と[に]が正しい
説明:[い]台風は海水面の温度が25度Cを超える海で誕生する(×)
■正しくは、「…27度Cを越える海で…」だそうです。夏の日本近海では、27度Cを越える海は、太平洋側では銚子のあたりまでひろがっているらしい。それより北になると、寒流の影響でしょうか、27度以下のようです。
□理屈の上で言えば、日本の近海でも台風を発生させる可能性はあるのかもしれません。でも、高知県沖とか和歌山県沖で発生した台風なんて、聞いたことはありませんね。
[ろ]台風は、暖かい南の海で出来たいくつかの積乱雲が合併・統合されて大きな気象現象となったものである(×)
■正しくは、「台風は核となる積乱雲を中心に、徐々にエネルギーを貯め込んで大きく成長していく気象現象…」だそうです。
□南の海では海面近辺の空気はたくさんの水分を含んでいるそうです。湿気が多いわけですね。海面付近で1立方mあたり16~20gだったりするらしい。ふつうの陸上の空気よりも倍以上湿っているとのこと。ちなみに、気温が上がれば上がるほど、含んでいられる水分の量も増えます。20度Cの場合で17.3g。30度Cの場合だと30.4gぐらいまで含むことができるそうです*2。
□海面付近で暖められた湿度の高い空気は、上空をめざして上昇気流となってあがっていくそうです。秒速1~数mの速さらしい。高層ビルのエレベータよりは遅いけど、エスカレータよりは上昇速度としては速そうです。
□湿気を含んだ空気は上空で膨張し、温度が下がります。水蒸気として含まれていた水は水滴や氷の粒になり、雲になるそうです。雲の内部は冷えますが、雲の外側には熱が放射されているそうです。この熱で周囲の空気が暖められ、その空気もまた上昇を始めるらしい。この上昇気流によって水蒸気を含んだ空気が供給され、積乱雲が育っていくとのこと。
□積乱雲はどんどん大きくなりながら周囲の空気を暖め、上昇気流をつくることを繰り返します。中心に流れ込む空気の流れ、つまり風が17.2mを越えると、台風とかサイクロンとして認定されるとのこと。33mを越えてハリケーンと認定される場合もあります。
[は]台風の目は渦による遠心力でできる(○)
■台風が発達するのは、中心に向かって渦ができ、広い範囲から風が吹き込み、暖かい水蒸気を含んだ空気が供給されるからだそうです。ただし、台風の巨大な渦は、赤道からある程度離れていないとできないらしい。
□なぜでしょうか。地球の自転により、赤道付近は毎時1675kmの猛烈な速度で動いています。でも緯度が高くなるにつれてこの速度は下がります。たとえば北緯(南緯)50度では毎時1077kmだそうです。北極点や南極点つまり緯度90度では速度はゼロになります。この速度の差が渦をつくるらしい。
□赤道付近と緯度10度のあいだでは、時速はわずかに25kmしか違わないとのこと。渦ができにくい。だから積乱雲は生まれても台風にまで発達しないそうです。緯度20度と30度のあいだでは時速にして124kmの差があるとのこと。このあたりでは渦ができ、広範囲から水蒸気を含んだ空気が流れ込み、台風ができるそうです。
□なお、台風、サイクロン、ハリケーンとも、人工衛星から眺めた場合、北半球では雲の渦が時計回りに、南半球では反時計まわりに広がっているように見えます。中心に吹き込む風は北半球では反時計回り、南半球では時計回りに吹き込むとのこと。
□余談です。お風呂の栓を抜いたときにできる渦が北半球と南半球では違うという話をよく聞きます。あの話は間違っているようです。そんな小さな渦の場合には、緯度による速度の差など無関係とのこと。むしろ、栓を抜くときの角度、浴槽の底の微小な凹凸その他により、渦のできる向きが決まるそうです。北半球・南半球とも、時計回り・反時計回りどちらの渦もできる可能性があるらしい*1。
□話を戻します。台風は回転しながら移動します。中心付近の雲は遠心力により外におしつけられ空白部分ができます。これが台風の眼だそうです。ときには直径数十kmもあり、ひとつの都市がすっぽりおさまるほどのサイズになるとのこと。
□台風に吹き込む風は、眼の中心に向かって行こうとします。でも回転による遠心力には逆らえず、眼を構成する厚い積乱雲の壁の中を螺旋を描きなが上昇するそうです。そのため、「眼の壁」は台風の中でも雨の強い場所になっているらしい。
[に]台風のコースは小笠原高気圧の動向で決まる(○)
■小笠原高気圧は、太平洋高気圧とも呼ばれます。赤道付近で上昇した気流が上空で冷され、下降することでできる高気圧だそうです。北緯30度の小笠原諸島あたりを中心としてできるので、小笠原高気圧と呼ばれるそうです。地球規模の大気の大循環でできる高気圧です。とても安定しているそうです。
□台風は周囲の風によって移動するそうです。小笠原高気圧は6月ぐらいがいちばん勢力がつよいらしい。台風は小笠原高気圧の風により西方向に移動します。6月7月ぐらいの台風が日本よりも西側、中国大陸の方向にそれることが多いのは、小笠原高気圧が頑張っているからだそうです。8月9月10月と小笠原高気圧は勢力を弱めます。台風は北向きに進みやすくなります。大陸からくる偏西風を受け、弧を描きながら日本に接近することになります。
[ほ]台風の西側に高気圧があったときには、風や雨の被害が甚大になる傾向がある(×)
■正しくは、「台風の東側に高気圧があったときは…」だそうです。台風の東側に高気圧があると、高気圧から時計回りに吹き出す風と反時計回りに台風に吹き込む風が、中間で合流し、強い南風が吹くことがあるそうです。風の被害を受けることになります。さらにこの風よって、水蒸気を大量に含んだ空気が南から送られていきます。豪雨になったりするらしい。
◆参考*1:雑誌「温暖化で強大化する台風、ハリケーン、サイクロン」ニュートン 0810月号014~063頁、ニュートンプレス
◇*2HP「飽和水蒸気量」
http://www.max.hi-ho.ne.jp/lylle/shitsudo1.html

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この記事へのコメント

Hiro
2008年09月30日 13:27
■速度の差が渦をつくる→理由がよく分かりました。流石説明が上手ですね。
■お風呂の栓を抜いたときにできる渦の向きも以前から興味があったので取り上げてくれてよかったです。
北半球と南半球では違うと力説している(実際確かめたと記事にあるので始末が悪い)文章があり間違って覚えてしまっている人が多いと思います。今回の記事で理論的に分かるのでこの情報が広まるといいですね。
Hiro様<素町人
2008年10月01日 00:31
コメントをありがとうございます。
おほめにあずかり、恐縮至極です。
m(_ _)m

 お風呂の渦については、多くの人が「オーストラリアではこうだった」という発言をしますね。実際に自分の目で確かめた人も少なくないのでしょう。
 おそらく、観察するサンプル数…つまりバスタブの数をもう少し増やせば、「南半球だから渦の巻きが反対になる説」を否定する証拠も見られたかもしれません。
 科学的な事実をつきとめるのは、なかなか大変なんですね。
(^^;)

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