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zoom RSS 菊池寛の代表作「恩讐の彼方に」からの読み問題。「薙ぐ」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2008/07/03 06:25   >>

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★日本語★
問題:文藝春秋を創立した作家菊池寛(きくちかん)は、明治末期から昭和前半にかけて活躍しました。代表作に、「恩讐の彼方に(おんしゅうのかなたに)」、「屋上の狂人」、「父帰る」、「真珠夫人」などがあります。「真珠夫人」はわりと最近、連続テレビドラマとして放送されていましたね。
●恩讐とは「情けとあだ、恩義と恨み」だそうです。「恩讐の彼方に」という題名は、「さまざまな感情を乗り越えて」という意味らしい。次のようなお話です。
●主人公市九郎(いちきゅうろう)は侍です。主人の愛妾と通じたことが露見し、成敗されかけたのを逆襲して主殺しの大罪を犯します。女と手をとりあって逃げますが、堅気の仕事にはつけません。街道筋の旅人を狙い、最初は美人局(つつもたせ)、次には強請(ゆすり)、さらには強盗、最後には殺人まで犯して糊口をしのぎます。しばらくして、良心の呵責を感じた市九郎は、愛人の強欲さにも愛想を尽かし、ひとりである寺にかけこみます。
●いままでの悪行を告白し、自首しようとするのを僧が止めます。そのまま処刑されるより、仏道に帰依し、人々を救うことで自分自身を救え、と諭します。仏門に入った市九郎は修行に励み、やがて諸人救済のため、了海(りょうかい)という名前で雲水として旅に出ます。困っている者を見ては助け、壊れた道や橋を見ては修理する旅を続けます。
●九州のある山を訪れたとき、事故死した者を供養してくれと頼まれます。崖から落ちて亡くなった者とのこと。立ちふさがる岩山のために危ない場所を通らねばならず、多くの者が命を落としていると聞きます。了海はこれこそが自分の仕事だと悟ります。その岩山に洞窟を掘ろう。一年に何人もの人を助けられれば、百年千年のうちには、何百何千もの人を救える。何人もの人を殺してきた自分の大罪を償うのは、この事業しかない。
●でも、村人たちは、とてもできそうにないと動きません。彼は一人で掘り始めます。最初は気違いだと思っていた人々もある程度作業が進むと、手伝ってくれます。でも、なかなか前に進まないのにいらつき、次々と去り、また一人だけで掘ることになります。そんなことが数回繰り返され、洞窟が半分まで進んだのは工事を始めて18年目の終わりでした。すでに了海の足も目も弱ってきました。それでも、岩をうがつことが修行であるかのように、了海は掘削に取組み続けます。
●貫通できる見込みが立ったとき、村人は今までの不明を恥じ、本格で取り組み始めます。30人の石工が集められ、どんどん掘り進められていきます。
●ある日のこと、了海を侍が尋ねてきます。かつての主人の息子の仇討ちです。了海はすすんで討たれようとします。止めに入った石工たちが侍に頼みます。「このかたは生き仏様だ。どうしても討つというのなら、せめてこの洞窟が完成するまで待ってくれ」。侍は仇と狙った男がよぼよぼの老人であること、その言動の潔いこと、石工たちの主張のまっとうなことに動かされ、完成まで待とうと約束します。
●いったんは引き下がったものの、お家の再興という大きな役目があります。やはり仇を討とうとある深夜、石工たちの隙を狙って一人で洞窟に忍び込みます。奥から石を穿つ音が聞こえてきます。さらに近づくと、なにやら唸るような声が聞こえてきます。それは了海が岩に鑿で叩きながら唱える念仏の声でした。
●その聖なる姿に出会ったとき、侍はもう闇討ちは出来なくなりました。ともかくこの洞窟が完成するまで待とう。しばらくして、侍は作業に加わるようになります。早く完成させ、仇を討ち、江戸に戻らねばならない。そのためには自分も手伝ったほうが良い。敵と敵が並んで鑿をふるう光景が見られるようなります。
●侍が工事に加わって1年半。了海が工事を始めて21年目のある夜。ついに最後の岩が崩れ、月の光が差し込みます。了海は感激の涙を流しながら、「早く討て、石工たちの邪魔が入るぞ」と侍を促します。でも、侍にはとても斬れません。か弱い人の力で21年もの歳月をかけ偉業が達成された。そのことに胸が熱くなり、しきりに涙がこぼれます。侍は了海の手をとり、二人ですべてを忘れてむせびあいましたとさ。めでたし。めでたし。
●では、「恩讐の彼方に」からの出題です。次の漢字・熟語はなんと読むでしょうか?
[い]訝しい
[ろ]薙ぐ
[は]蕩児
[に]忌々しい
[ほ]端金
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照
説明:●[い]「訝しい」はいぶか(しい)と読む
「訝しい」とは、「物事が不明であることを怪しく思うさま。疑わしい」という意味です。「怪訝(けげん)」という熟語を作ります。小説の中では、「…老僧は訝しげに実之助を見上げた」と使われていました。
●[ろ]「薙ぐ」はな(ぐ)と読む
日本伝統の武術を習っている人の場合、この漢字は読める人が多いでしょう。「薙刀(なぎなた)」にも使われている漢字です。「薙ぐ」とは「物を勢いよく横に払って切る」ことだそうです。三種の神器のひとつ、「草薙(くさなぎ)の剣」は日本武尊(やまとたけるのみこと)が草を薙ぎ払って難を逃れた剣だそうです。
○SMAPの「くさなぎくん」は、「草g剛」と書くそうです。この難しい「g」は国字だそうです。この字にも「草薙」と似た逸話があるらしい。11世紀、前九年の役(ぜんくねんのえき)で奥州安倍氏と戦った源義家(よしいえ)が進軍する際、和泉小太郎(いずみこたろう?)という者が弓で草をなぎ払って先導したとのこと。義家がその功績を称え、「草g」という姓を与えたそうです。和泉小太郎は田沢湖の近くの住人で、草g姓はそのあたりを中心に広がったらしい*2。源義家は、源頼朝(よりとも)や義経(よしつね)にDNAを伝えているそうです。百年以上離れていますが、ご先祖さまです。
○「薙ぐ」という漢字は、小説の中では、「…主人の脇腹を思うさま横に薙いだ…」と使われています。
●[は]「蕩児」はとうじと読む
蕩児は「正業を忘れて、酒色にふける者」だそうです。「蕩」という漢字には「ほしいまま」という意味もあるとのこと。「放蕩息子」という言葉はほしいままに遊びまくる坊ちゃんの意味らしい。小説の中では、「一個の蕩児であり、無頼の若武士ではあったけれども…」と使われていました。
●[に]「忌々しい」はいまいま(しい)と読む
忌々しいは「非常に腹立たしく感じる。しゃくにさわる」という意味です。いまでもよく使う言葉ですね。小説の中では、「…そう忌々しそうにいい切ると…」と使われていました。
●[ほ]「端金」ははしたがねと読む
端金は「ある額に達しない半端な金銭。ごくわずかな金銭」の意味です。似たような使い方では、端物(はしたもの、数の揃っていないもの)という言葉もあります。小説の中では、「…『そんな端金が、どうなるものかね』…」と使われていました。
◆参考*1:HP「図書カード:恩讐の彼方に」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000083/card496.html
◇*2HP「草なぎ剛って韓国人ですか? - Yahoo!知恵袋」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1315352528
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries大辞林

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