ドリーム師匠こと夢之助の謝罪。手話で落語は伝わるの?

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★社会★
問題:「三笑亭夢之助さん謝罪 落語手話通訳『気が散る』と発言」
(MSN産経ニュース 071031)
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/071031/tnr0710311217005-n1.htm
●三笑亭夢之助(さんしょうていゆめのすけ)という落語家がいます。落語自体はあまり聞いたことがありません。レポーターというのでしょうか、体験報告者として登場するテレビ番組は時々拝見します。「ぶらり途中下車の旅」なんかですね。58歳だそうです。年齢に比べて外見が若い。最近では「夢」の字からドリーム師匠などと呼ばれることもあるらしい。
●今年、平成19(2007)年の9月17日に、島根県の安来(やすぎ)市民会館という場所で敬老会が開かれました。ドリーム師匠が呼ばれ、247人の70歳のかたを前に落語を演じたそうです。その際、高座の真横に3人の手話通訳者が立って手話をしたらしい。ドリーム師匠は、事前には手話通訳がつくと聞いていなかったようです。気が散るとして手話通訳者に退去を求めたらしい。「落語は手話に変えられるものではない。手話のかたがいると気が散る」という意味のことを言ったそうです。通訳者は舞台の下で通訳を続けたらしい。
●島根県ろうあ(聾唖)連盟は抗議し、ドリーム師匠は「気が散って噺(はなし)を間違えると他のお客さんに失礼との思いからの発言だった」という謝罪文を発表したそうです。
●ドリーム師匠はいけない行動をとったのでしょうか。落語ファンの1人には、そうは思えません。落語は手話に置き換えられない。残念ながらこれは事実のようです。「手話落語」という分野はあります。でも、落語には手話では伝えられない単語が数多く登場するそうです。語呂合せなども伝わらない。独特の間合いも感じにくい。そのため、小咄(こばなし)を多く演じることになると聞きます。一席のまとまった話を無理に手話にしても、通じない部分が多いようです。
●寄席でもホール落語でも手話通訳がついたものをみたことがありません。もしついていたら、ドリーム師匠の言うとおり、演者も気が散るでしょう。だいいち客のほうも気が散るでしょう。
●ろうあ連盟が何と言って抗議したのかは知りません。でも彼らも事実は事実として認めるべきです。落語を手話で伝えてもあまり意味はない。耳が不自由な場合、落語は本で楽しまれるといいでしょう。落語のビデオ・DVDに字幕が入っている場合も楽しめるかな。
●記事やWikipediaの情報で不思議なのは手話通訳者の数です。聴衆は244人が健常者、3人が聴覚障害者だったそうです。なぜ1人の障害者につき1人の通訳者が必要だったのでしょうか。残念ながら、「MSN産経ニュース」やWikipediaの記事は読者が当然抱くはずの疑問に答えていません。
●まっ、それはともかく、ドリーム師匠こと三笑亭夢之助師匠にかんする雑学クイズです。次のうちで正しい記述はどれでしょうか?
[い]鹿児島指宿(いぶすき)の出身である
[ろ]師匠は三笑亭夢丸(さんしょうていゆめまる)である
[は]かつて笑点の大喜利のメンバーだったことがある
[に]国立演芸場で年二回の独演会を開いている
[ほ]二代目木久蔵と木久扇のW襲名披露興行にも出演している
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)


























正解:[は]と[に]、[ほ]が正しい
説明:●[い]鹿児島指宿(いぶすき)の出身である(×)
正しくは「北海道札幌の出身である」だそうです。名門北海高校を卒業しているとのこと。北海道で最古の私立高校だそうです。
作家の子母澤寛(しぼさわかん、「座頭市」の生みの親)
三段跳び金メダルの南部忠平(なんぶちゅうへい)
喜劇の益田喜頓(ますだきーとん)
同じく坊屋三郎(ぼうやさぶろう)
俳優の千秋実(ちあきみのる、黒澤映画にも不可欠)
作曲家の早坂文雄(はやさかふみお、黒澤映画にも不可欠)
野球の若松勉(わかまつつとむ、ヤクルト元監督)
タカアンドトシのタカ(鈴木崇大、すずきたかひろ)
…などなど、先輩後輩に恵まれているそうです。
●[ろ]師匠は三笑亭夢丸(さんしょうていゆめまる)である(×)
正しくは「…三笑亭夢楽(さんしょうていむらく)である」だそうです。昭和43(1968)年の入門とのこと。三笑亭夢楽は、伝説のお笑い番組「お笑いタッグマッチ」などにも出演していました。若手落語会を主宰し、メンバーには5代目三遊亭圓楽、7代目立川談志、3代目古今亭志ん朝らそうそうたる連中が参加したそうです。ちなみに三笑亭夢丸は、夢之助の兄弟子にあたるようです*6。
●[は]かつて笑点の大喜利のメンバーだったことがある(○)
昭和52(1977)年から2年間、大喜利のメンバーをつとめたとのこと。当時の司会は三波伸介。楽太郎や歌丸、木久蔵(初代)などが一緒に出演していたようです。
●[に]国立演芸場で年二回の独演会を開いている(○)
テレビ局に重宝されるタレントですが、本業の落語にも力を入れているそうです。
●[ほ]二代目木久蔵と木久扇のW襲名披露興行にも出演している(○)
木久蔵と木久扇の襲名披露興行は全国70箇所で行なわれるそうです。そのうち、明治座の分では、ドリーム師匠も出演なさったらしい。長いつきあいですから断れなかったのかな。
◆参考*1:HP「三笑亭夢之助 – Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E7%AC%91%E4%BA%AD%E5%A4%A2%E4%B9%8B%E5%8A%A9
◇*2HP「三笑亭夢楽 – Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E7%AC%91%E4%BA%AD%E5%A4%A2%E6%A5%BD
◇*3HP「北海高等学校 – Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1
◇*4HP「笑点の大喜利 – Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%91%E7%82%B9%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%96%9C%E5%88%A9
◇*5HP「明治座で落語祭、林家木久扇と木久蔵の親子襲名披露 - 銀座新聞ニュース」
http://www.ginzanews.com/headline/2577/
◇*6HP「三笑亭夢丸ホームページ」
http://www.tctv.ne.jp/sakana/
◇HP「彩の国さいたま寄席 四季彩亭 彩の国落語大賞受賞者の会:公演履歴」(口絵の参考にさせて頂きました)
http://www.saf.or.jp/p_calendar/geijyutu/2007/p0223.html

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この記事へのコメント

手話通訳を生業としているものです
2007年11月01日 10:50
突然、登場してすいません。国の資格を持って手話通訳をしているものです。
みなさんは、3人の手話通訳は多いということ思われる方もいらっしゃるようですので、一応解説までに。

手話通訳者は連続して手話通訳ができる時間というものが長くはありません。
たとえで申し訳ありませんが、腕を胸の前で伸ばして手のひらを握ったり開いたりしてみてください。これは単純な作業ですが、長時間はできないですよね。
まして、手話通訳は日本語を手話という言語に置き換える作業を脳内で行っており、身体に対して非常に負担がかかるものなんです。
ですので、通常講演会など、舞台上で手話通訳を行う場合、15分から20分くらいで別の通訳者に交代しなければ行けないのです。そうでないと体が持たないのです。
ということで、交代要員を含めると講演会等では通常3~4名の手話通訳者が派遣されるわけです。
これは、国が定める手話通訳者の派遣に関する記述にも連続して30分以上通訳をさせてはいけない(講演会の場合)となっています。
事実関係をきちんと調べてからかかれた方がいいと思いますよ。
手話通訳を生業としているものです様<素町人
2007年11月01日 20:18
コメントをありがとうございます。
 
 なるほど。新聞が手を抜いたところをご説明いただきました。ありがとうございます。
 手話通訳は長い時間できないから3人が必要というわけですね。講演会で30分以内という規則があるのもわかりました。

 MSN産経ニュースの記事には次のように書かれていました。引用してみます。
……落語家の三笑亭夢之助さんが9月17日、島根県の安来市民会館で落語中、舞台上で手話通訳していた3人に「気が散る」と発言し、抗議を受けて謝罪していたことが31日、分かった……
 これは「手話通訳をしていた1人と待機していた交代要員2人に対して気が散ると言った」と解釈すべきだったわけですね。なるほど。

 でも、どっちにしろ3人は多い気もします。寄席では一席の落語はせいぜい20分前後です。ホール落語を録音したと思われる「NHK落語名人選」200話余りの平均値が25分ほどです。
 独演会などで大物のネタを仕掛けるならともかく、敬老会の余興の落語でそんなに長い話をするとは考えにくい。
↓続く↓
手話通訳を生業としているものです様<素町...
2007年11月01日 20:25
↓上からの続き↓
 つまり、落語だけなら1人でまかなえる。他の催しと合わせても、2人が交替でやっていけば1日はこなせると素人は勝手に思ってしまいます。間違っているでしょうか。
(^^;)

 さて、ちょうどいい機会ですので、「手話通訳を生業としている方」におうかがいしたいことがあります。もし、ご面倒でなければお答えください。
1.一席のまとまった落語を手話通訳で伝えられるでしょうか。もし可能とおっしゃる場合には、どんなネタで成功した実例があるかもご教示いただけると幸いです。
2.自治体主催の敬老会などに手話通訳者が呼ばれる場合、ボランティアなのでしょうか。それとも通訳者に対するギャラは出るのでしょうか。有料の場合、仕事としては自治体から直接受注することになるのでしょうか。どこか第三者を通すことになるのでしょうか。
3.問題になっているろうあ連盟が何に対してどう抗議したのかが素人には皆目わかりません。推測でも結構ですから、業界関係者として「こうではないか」というヒントをいただけると幸いです。

以上、無理もありましょうが、よろしくお願いいたします。
m(_ _)m

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