絵の盗作騒ぎ。では、絵画では盗作の境界線はどこに引く?

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問題:「絵画盗作疑惑 東郷青児美術館大賞の作品でも酷似」(Sankei Web 060531)
http://www.sankei.co.jp/news/060531/sha089.htm
●芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した洋画家の作品が、どうも盗作ではないかと言われています。大臣賞の対象となった作品展の絵が疑われているとのこと。別に、東郷青児美術館大賞という民間の賞についても、対象作品が盗作の疑いがあるらしい。
●テレビなどで見るかぎり、絵は元ネタとよく似ています。イチャモンをつけられるのは仕方のないことかもしれません。
●でも、絵画の盗作というのは、どういうものを指すのでしょうか。贋作ならわかりますが、盗作は素人にはわかりません。たとえば、絵の下手な者が盗作を試みても、結果は盗作にならない。「モナリザ」を盗んだつもりでも、近所のオバサンの肖像画に見えるかも。意図は盗作でも、結果はオリジナルです。絵の下手な町人には、絵画の盗作の定義がわかりません。
●マルセル・デュシャンというモダンアートの作家がいます。この人の作品のひとつは、英国の美術関係者500人から「20世紀でいちばん影響力のある美術作品」として選ばれたこともあります。「大家」です。彼の作品に、モナリザに髭を書き足しただけというのがあります。(口絵はそれを真似たものです。これも盗作かな?)
●子供のいたずらがきのようです。でも「作品」だそうです。きっと高値で売買されるのでしょう。もしこれを独立した「作品」と呼ぶなら、盗作の定義ってなんでしょうね。
●話は関係者の困惑にうつります。こういう問題が起きると、盗作であるかないかは別にして、さまざまな方面に影響が出ます。たとえば、この洋画家をいままで称賛してきた人は、ちょっと恥ずかしいことになります。
●そのひとつの例です。ある新聞社がこの洋画家について書いた記事の見出しは、次のどれでしょうか?
□「独創性にため息…○○○○展始まる」
□「驚愕のオリジナリティ…○○○○展始まる」
□「発想の霊妙さに感服…○○○○展始まる」
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)






























正解:「独創性にため息…○○○○展始まる」
説明:●この見出しを書いた人はきっとホントにため息をついたのでしょう。憶測ですが、記者にはなんら落ち度はないと思えます。でも、この記事を書いた人、いまごろは、「類似性にため息」をついているでしょう。
●この洋画家の作品が「盗作」と決めつけられれば、この記者や新聞社は赤恥をかくことになります。とくに新聞社は、「ドラマとポエジーの画家」というキャッチフレーズで展覧会を主催している立場です。
●次は、東郷青児美術館大賞を受賞したとき、ある文学者が洋画家について書いた文章です。「…氏が拙作の愛読者であったことから知り合い、私の方が、重厚で香り高い○○作品の絵画宇宙の虜となってしまった」。文学者は、「捕虜生活」を送ってきたことをちょっぴり後悔しているでしょうか。
●幸いにして洋画家と無関係な人たちは、遠慮無く攻撃しているようです。多少なりとも関係のある側は、「はやく75日過ぎないか」と雌伏して待つことになりそうです。
【注】新聞やテレビでは洋画家の名前を明らかにしています。町人は彼とは無関係ですが、盗作かどうかはよくわかりません。で、あえて意味もなく名前を伏せてみました。
【追記】報道によれば、洋画家の芸術選奨文部科学大臣賞は取り消されたそうですね。
 ご当人も盗作だと発言したようです。スギ氏側は告訴しないと言っているらしい。
 町人としては、たいへん心残りです。ぜひ裁判にして欲しかった。イタリア、あるいは日本の裁判官が、絵画の盗作についてどのような基準を示し、どのような判断を下すのか。興味深い問題でした。「世俗と芸術の対決」が見られるかな、とちょっと期待してしまいました。
 まぁ当人が盗作というのであれば、それは盗作なのでしょう。マルセル・デュシャン先生がおっしゃるように「当人が芸術だと言えばそれは芸術」という世界ではあります。(060606)
◆参考:新聞「独創性にため息… ○○○○展始まる 県つくば美術館=茨城」○○新聞051127東京朝刊34頁
◇HP「写真館『著名人・芸術関係』6」
◇HP「20世紀でいちばん影響力のある美術作品は、何に似ている?」
http://blog.q-q.jp/200601/article_86.html
◇HP「絵画酷似問題 芸術選奨取り消し決定 選考方法の改善指示」YAHOO! NEWS← 毎日新聞 - 社会
◇HP「告訴はせずとスギ氏 『素早い決定に敬意』」 YAHOO! NEWS←共同通信 - エンターテインメント

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この記事へのコメント

2006年06月01日 20:49
俺ちゃん、貴ブログを盗作するやも知れませぬ。でも賞を取るような騒ぎにならないので、訴えるご準備は不要です(笑)
貴ブログもWebryblogに合わせて?メンテナンス実施中ですね。ますます盗作意欲が(爆)

>洋画家と無関係な人たちは、遠慮無く攻撃
また攻撃したくなるようなコトをしゃべってるんだもの・・・
2006年06月02日 07:06
コメントをありがとうございます。
 盗作意欲が湧いているというのは、最高の褒め言葉です。感謝。m(_ _)m

 いつも、つむじまがりな発言で恐縮です。でも、絵画の盗作って正直よく分かりません。
 実は初めは洋画家をからかうつもりで記事を書き始めたんですが、途中でどんどん方向がそれまして。盗作の定義がわからないと、何も始まらないなと当初の目的を捨ててしまいました。
 スギ氏の不愉快は理解できますけどね。
 
「東西南北新中」と同じぐらいによくみかける接頭辞?を探しましたがなかなかないですね。上・下は多少ありそうです。神奈川地域では、「元」のつく元町、元住吉があるようですけど。(^^;) 
【話が見えないかたは、
http://yamas.at.webry.info/200605/article_33.html
をご訪問くだされ】
2006年06月02日 22:24
ご紹介かたじけない
道産子の俺ちゃんとしては「上」は意識しておりましたが、「下」の方に心得がなくって・・・「元」ですと『元犬』に走ってしまいそう(脱線・失礼)
2006年06月03日 07:18
コメントをありがとうございます。
「下」は下北沢(京王、小田急)、下落合(西武新宿)、下神明(東急大井町)下新庄(いしいひさいち氏の漫画「バイトくん」に登場。実在、阪急千里線)、下根多(弊ブログに時々登場、架空)などがありました。
 (^^;)

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  • スギ氏に似スギ。

    Excerpt: 今年になってもまた騒がれちゃってますね、盗作疑惑。今度は絵画。 イタリアの画家、アルベルト・スギ氏の絵画と和田義彦氏の絵画が あまりにも似ているということで疑惑が持ちかけられたのが数日前。.. Weblog: Stylish jam - Blog racked: 2006-06-01 10:33
  • 盗作も絵なり

    Excerpt: 国画会会員の洋画家、和田義彦氏(66)の絵が イタリアの画家、アルベルト・スギ氏(77)の作品30余点と 構図といい色彩といい、あまりによく似ているものだから 「盗作だ」と騒いでいる。 Weblog: メインスタンドは芝生席 racked: 2006-06-05 06:59
  • 「20世紀最大の芸術家」デュシャンの誕生日。便器を使った記念碑的作品は壊されちゃったの?

    Excerpt: ●●●●●★歴史★● 問題:20世紀最大の芸術家といったら誰を思い浮かべますか? 日本人だと夏目漱石とか太宰治などの小説家かな。画家・彫刻家だと芸術は爆発だと主張していた岡本太郎氏でしょうか。陶芸家.. Weblog: 町人思案橋・クイズ集 racked: 2010-07-28 07:19